目次 鉄板の差し入れ いい香りのするジェラート 「食べられるモノはすべてジェラートにします」 素材のポテンシャルを引き出す甘さの微調整 現地…
世代もシーンも選ばない名店
“迷ったら、WORKS”。家族とも友人とも仕事先の人とも、もちろん一人でも、どんなシチュエーションでもマッチする徳島の老舗カフェといえば、「TOKUSHIMA COFFEE WORKS(トクシマ コーヒー ワークス)」を思い浮かべます。
薪窯で焼きあげる本格ピッツァ、オリジナルの手作りスイーツ、そして自家焙煎のおいしいコーヒー。大充実のメニューに何度誘惑されたことでしょう。昔から通うお客さんたちが“美学”と呼ぶのもかっこいい。以前の店名「珈琲美学」の愛称です。

お店で出すコーヒーは焙煎のレベルに合わせて抽出方法を使い分けるのが、WORKSのこだわり。中深煎り以上のビターなコーヒーは布製のフィルター「ネル」を使って本来のコクや深みをストレートに引きだします。浅煎り~中煎りのコーヒーはペーパードリップですっきりと抽出し、フレーバーを際立たせます。


コーヒーの奥深さにのめりこんで
代表の小原健亮さんと一緒にお店の歩みを振り返ってみました。創業者は父である会長の小原博さん。1978年、阿南市で西洋料理店「ディラン」を開き、料理人として腕をふるっていました。当時、コーヒーは仕入れたものを置く程度。主役がコーヒーに変わったのは、「コーヒーがおいしくない」という、お客さんからのストレートな一言がきっかけでした。
「会長は性格上、物事を極めたいタイプ。“なにがなんでもやってやろう”と、豆の産地や種類、抽出方法などを徹底的に学び、当時珍しかった自家焙煎にも挑戦するようになりました」
それから3年後の1981年、徳島市大原町で自家焙煎珈琲「でっち亭」をオープン。1990年、現在の「TOKUSHIMA COFFEE WORKS 山城店」がある場所に「珈琲美学」を出店する頃には、ブラジルをはじめ、コロンビア、コスタリカなどコーヒーの産地に足を運び、農園と契約するまでに。豆の買いつけから焙煎、抽出、提供までを一貫して行う、現在のスタイルが確立していました。

お店で取り扱うコーヒーはなんと30種類にも上ります。そのうち10種類はブレンドで、残り20種類は“シングル”といわれる単一の産地・品種のコーヒー。「コーヒー豆は農産物なので年によって出来栄えが変わります。前年契約していても、その年の出来がいまいちだったら更新しないこともあります」と健亮さん。品質をシビアに追及するからこそ、今年飲めても来年は違うコーヒーに入れ替わっているかもしれません。

「在来種」にこだわり、地球の裏側まで
コーヒーの買いつけは年に一度の恒例行事。会長はこの9月(2025年)に33時間かけてブラジルを訪問したばかり。その年のクオリティーを確かめるほかに、作り手との交流を深め、コーヒーの潮流を肌で感じる大切な機会です。斬新な焙煎や抽出方法などを目にすることも多く、たくさんの出会いと収穫がある旅だといいます。

はるばる地球の裏側まで飛びたち、特に大切にしているのは「品種」です。世界には3500もの品種が存在すると言われる中で、TOKUSHIMA COFFEE WORKSが選り抜くのは在来種の「ティピカ種」と「ブルボン種」。品種改良されていない古くからその地で息づいてきた品種です。
「どちらの種も味わいがものすごくピュアで、クリア。キレのある後味で飲み心地がいいんです。一方で、もともと在来種は災害や病気に弱い側面があって、農園にとって栽培することは博打に近い。年々、収穫量が減って手に入りにくくなっています」
ブラジルの南部・ミナスジェライス州のジャンガダ農園で作られたブルボン種の「レッドブルボン」は、最新の買いつけで会長が運命的な出会いを果たしたもの。生産者のイヴァン・サンタナ氏は大手スペシャルティコーヒー会社で修業を重ね、品質や生産に対する知識が豊富な信頼のコーヒーファーマー。彼が研究を続け、育てあげたコーヒーは、苦味・酸味・甘みのバランスが抜群。今季イチオシの一杯です。


徳島藩主ゆかりのブレンドコーヒー
数あるブレンドの中でも異彩を放つ逸品が、「蜂須賀ブレンド」。徳島藩最後の藩主・蜂須賀茂韶(もちあき)の歴史を紐解きながら、考案されたスペシャルなブレンドです。蜂須賀茂韶がイギリス留学時代に口にしていたであろうエチオピアのコーヒーと、帰国後に当時の日本で流通していたブラジルとインドネシアのコーヒーを合わせて、中深煎りのコーヒーを生みだしました。

「徳島はコーヒーの消費量が多い県なので、コーヒーで名産品を作れないかと誕生したブレンドです。徳島城博物館の館長さんをはじめ、徳島の歴史や文化に詳しいメンバーがそろう『蜂須賀友の会』のみなさんと共同で考案しました。時代を考察しながら作った100%真実ではないが、100%間違いでもないロマンあるコーヒーです。味の層に厚みがありつつも、飲みやすい一杯に仕上げました」


「蜂須賀ブレンド」のドリップバッグも人気です。手軽に本格的な風味、味わいが楽しめるため、自宅用に手土産に贈り物にと、あらゆるシーンで活用されています。

TOKUSHIMA COFFEE WORKSの商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。
蜂須賀ブレンド ドリップバッグセット 36袋入り
ちなみに、鮮度のよさを追求するべく、専用の機械を導入してドリップバッグまでも自社製造しています。そんな徹底した姿勢もWORKSらしさの表れです。

徳島の未来を支える取り組みも
最近では、「季節のブレンドコーヒー」のパッケージを一新。もの作りを中心に障がいがある方の就労を支援する「社会福祉法人カリヨン れもんワークス」とコラボし、所属するアーティストの絵画をデザインに取り入れています。アーティストの方の活躍の場を広げて自立支援につながれば、とのこと。四季がめぐるごとにパッケージに描かれるアートとコーヒーの内容が変わります。

人と地球に優しい取り組みはほかにも。フードロスを出さない緻密な製造計画や、ピザ窯の余熱でフォカッチャを焼いてエネルギーを再利用するなど、地域環境に配慮した工夫も行っています。
ここを訪れると、世界のコーヒーとめぐり会えます。しかも、とびっきりの親しみやすさを持ち合わせながら。いつもこの店はコーヒーを愛する人たちでいっぱいです。
「お客さまに提供するものは絶対に妥協したくない」という健亮さん。そのブレない志こそが、創業時から磨かれ続ける美学なのかもしれません。

●TOKUSHIMA COFFEE WORKS 山城店
徳島市山城西1-7
088-655-8877
https://coffee-w.com/
Instagram @tokushima_coffeeworks

TOKUSHIMA COFFEE WORKSの商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。
選び抜かれたコーヒーを取り扱う、TOKUSHIMA COFFEE WORKSの定番商品を詰め合わせたセットです。
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