「神山まるごと高専」学生まるごと日記【第9回】
まるごと祭2025の振り返り(1)「つくることは、いきること。——SoulofTech の中心で」

「神山まるごと高専」学生まるごと日記【第9回】 まるごと祭2025の振り返り(1)「つくることは、いきること。——SoulofTech の中心で」
2023年4月、徳島県の山あいにある町、神山町に開校した「神山まるごと高専」。全国で20年ぶりに新設された、全寮制の高等専門学校として全国から注目を集めています。“テクノロジーとデザイン、起業家精神”を学べるユニークな学校には、いったいどんな学生が集まり、どのような勉強や寮生活を送っているのでしょうか。気になるあれこれを学生自らが綴る、人気連載です。

この秋より月2回の更新とさらにパワーアップ! これまで以上に“神山まるごと高専生”の今がわかります。お楽しみください!
瀨川理楽さん

【第9回】「まるごと祭2025の振り返り(1)
『つくることは、いきること。——Soul of Tech の中心で』」

書き手:瀨川理楽(2年生)


12月は、2年生の瀨川理楽(せがわりら)が担当します! 今回は、神山まるごと高専最大のイベント「まるごと祭2025」(10月25・26日開催)を、コンテンツリーダーとして駆け抜けた私の視点から紹介します。

まるごと祭2025キービジュアル
▲今年のキービジュアル。

今年のテーマは 「Soul of Tech つくることは、いきること。」

実はこのテーマ、ある日突然決まりました。
最初はTech(テック ※technologyテクノロジーの略)って何を指すの? みんなで同じ方向を向けるの? と戸惑う声も多く、私自身もどう解釈して動いていけばいいのかたくさん悩みました。

全員が同じ熱量で「テクノロジー」に向き合うのは簡単ではありません。そこで私たちは「テック=高度な技術」ではなく、”授業で学んだ知識を土台に、自分の問いを表現に変える力”と定義しました。また、外部のテクノロジーに詳しい方との毎週のMTGや、校内のテクノロジーチームのサポート体制を整え、やりたいことがある人が挑戦しやすい環境を作っていきました。

私は「テック展示」「まるごとSHOP」「まるごとCAFE」「インスタレーション」「ステージ」「全員高専生体験」「祭」の7つのコンテンツの統括を担当しました。

▲7つのコンテンツロゴ。上左から、祭、ステージ、テック展示、まるごとSHOP、まるごとCAFE、インスタレーション、全員高専生体験。

関わる人数は実行委員だけで50名以上。スタッフさん、地域の方、外部の協力者さんも含めると、本当に多くの人が動いていて、意見のすり合わせはいつも時間と勝負でした。だからこそ、まず「自分がワクワクする」を心がけ、みんなの背中を押し続けることに力を入れました。
各コンテンツの中でも「テック展示」は、まるごと祭の目玉企画でした。私は直接の担当ではありませんが、選考・試作・改善を繰り返す仲間たちの姿を見て、その挑戦のエネルギーに何度も刺激を受けました。

テック展示の様子
▲テック展示の様子。

「テックの得意・不得意がある中で、どうすれば来場者に伝わる展示になるのか?」
悩みながらも学生同士で何度も試作し、改善のためのやり取りを重ねる過程そのものが、テーマの「Soul of Tech」にぴったりだと感じました。

私は今年、5人のアイドル企画「ATHENA」としてステージにも立ちました。衣装のスカートの裾にはLEDを縫い込み、音楽に合わせて光を制御するテック衣装にも挑戦しました。

「ATHENA」のステージの様子
▲「ATHENA」のステージの様子。
踊る理楽さん。衣装であるスカートの裾には、LEDを縫い込んでいる
▲踊る私。左のスカートの裾についているのがLEDです!

屋外ステージは風や光の影響が大きく、練習通りにいかないこともありましたが、光とダンスが重なって、来場者さんに届けられたことはとても貴重な経験となりました。ダンスは神山まるごと高専「まるごと祭」のYouTube でもご覧いただくことができます。

まるごとSHOPで「紙屋書店」としても出店しました。古本と人がつながる小さなスペースですが、ここでもテクノロジーの力が大きく役立ちました。
まるごと祭のアプリには、キャッシュレス決済機能や在庫管理の仕組みが備わっていました。そのおかげで、レジの混雑やお釣りの受け渡しがなくなり、スタッフが少なくてもスムーズに会計が進みました。また、紙の台帳で書き込む代わりに、商品が売れたタイミングで自動的に在庫数が更新されるため、忙しい時間帯でもあと何冊あるのかを把握しやすくなりました。

「まるごと祭」のアプリ開発チーム
▲「まるごと祭」のアプリ開発チーム。

アナログな古本屋であっても、こうした小さな技術の助けで運営の負担が減り、お客さんとの会話に時間が使えるようになりました。アナログとデジタルが補い合うことで、より豊かな体験が生まれる。そのことを実感できたのも、まるごと祭ならではの学びでした。

SHOP「紙屋書店」の様子
▲SHOP「紙屋書店」の様子。この連載のライター仲間の下島夏さん。

すべてが終わった今、「Soul of Tech」は、技術の中ではなく、技術を使って誰かに何かを届けたいと思う心の中にあるのだと思っています。
「まるごと祭2025」は、学生・スタッフ・地域の方・来場者のみなさんが一緒になって作り上げた、文字通り「Soul」が集まった特別な2日間でした!!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。次回も「まるごと祭2025」について私がお届けします。お楽しみに!

<書き手:瀨川理楽(2年生)>