2023年4月、徳島県の山あいにある町、神山町に開校した「神山まるごと高専」。全国で20年ぶりに新設された、全寮制の高等専門学校として全国から注目を集…
2023年4月、徳島県の山あいにある町、神山町に開校した「神山まるごと高専」。全国で20年ぶりに新設された、全寮制の高校専門学校として全国から注目を集めています。“テクノロジーとデザイン、起業家精神”を学べるユニークな学校には、いったいどんな学生が集まり、どのような勉強や寮生活を送っているのでしょうか。気になるあれこれを学生自らが綴る、人気連載です。
“神山まるごと高専生”の今がわかります。お楽しみください!

【第13回】
スタッフさんと私たち
書き手:
若宮小芭音さん(2年生)
第13回は、第8回の記事で半ズボンを履いていた2年生の若宮小芭音(こはね)が担当させていただきます。本記事では、神山まるごと高専において欠かせない存在である”スタッフ”と私たちの日常についてご紹介します。
神山まるごと高専といえば、その学習内容や課外活動などちょっと変わったところの多い学校ですが、私たちの間だけで通じる言語のようなものがいくつか存在しています。その一つが、「スタッフ」です。私たちは、教科担当やクラスの担当を含む教師の皆さんを「先生」ではなく、「スタッフ」と呼んでいます。
この呼び方のおかげもあり、スタッフさんたちと私たちの関係性は、いわゆる先生と生徒のものよりも密接で、共にチャレンジしていく仲間でありライバルです。今回はそんな神山まるごと高専のスタッフさん2名にインタビューをしてきました。

一人目は、鈴木知真(かずま)さんです。知真さんは自身も高専出身で、webをはじめとしたプログラミング担当、チャレンジ精神旺盛のハイスペスタッフです。テクノロジー大好きな私は、よく和真さんを捕まえて語り合います。
そんな知真さんの目指す授業は、「学びに対して学生が主導権を持っている状態」であると言います。例えば知真さんの担当するプログラミング演習の授業では、体育とのコラボで「テック」(プログラミングなどテクノロジー全般)を活用した運動会競技を作るなど、学生が自ら考え、テックという道具を使って実現する過程を体験できます。個人的にすごくお気に入りです。

「こんなことをしたら面白い化学反応が起きるかも、という実験の場としての授業をしたい」と述べた知真さんですが、学生の意見を受けて授業を改善するなど、より良い環境づくりのための努力を続けてくれています。また、自身も「自分で開発して形あるものを目指したい」とやりたいことが尽きない様子。そんな知真さんの姿に私も密かに対抗心を燃やしています(笑)。
学生の好きなところを聞いてみると、「素直!」と即答してくださいました。個性豊かでぶつかることもありますが、「悪いひとがいない」ところがお気に入りだそうです。また、学校の体制として、クラスにたった40人しかいないことで生まれる関係性の密度も魅力に感じているそうです。
知真さんは、徹底的に学生側に立つ姿勢が目立ちます。「学生と一緒にやりたいことはありますか?」という質問に、「学生の活動で主導権をあまり握りたくないから、顧問のような関わり方ではなくて、直感的にやりたいことを学生大人関係なく挑戦したい」と答えてくれました。例えば課外活動においては、なんとまるごと祭のステージで、バンドにチャレンジしました。舞台上でベースを弾く和真さんの姿は衝撃的でした。

続いて紹介する二人目のスタッフは、廣瀬智子(ひろせともこ)さんです。担当科目は英語で、私が一年生の時にはクラスの担当(クラスマネージャー)でした。前職も高校の先生だったとのことで、以前在籍していた学校で同僚の先生からこの学校の話を聞いたそうです。自分という人格をもっと確立したい。そう思っていた廣瀬さんは、前の職場ではできないようなことにも挑戦しようと移動を決意したそうです。

廣瀬さんが目指すのは、とりあえず「まずいやっぱり英語って必要だ…」と学生が将来思ったときに自分で学び直しができるような授業だとか。願わくば、自分の言葉として英語を操ってほしいのだそうです。
私は英語があまり得意ではありませんが、廣瀬さんの英語の授業は特別お気に入りで、とにかく英語を話している感覚があります。かつ基礎知識が身につく、の両方を兼ね備えているように思います。授業の中では、海外の映画のワンシーンを英語で演じてみる、といったものから自分の一年間を振り返るプレゼンまで、様々な実践的な内容を扱います。一方で、毎週の文法テストなど、きちんと基礎固めも忘れず教えてくれるのが廣瀬さんです。
学生の好きなところについて、「やる気があるところ」と答えてくれました。無気力ではなくて、全員に何かしらのやりたいことがある状態が好きなところだと話していました。また、この学校に入ったとき、初めは「廣瀬さんがやりたいことをやってください」と言われて困ったと言います。そもそも廣瀬さんは自身について「与えられた枠の中で頑張るのが得意」なタイプと分析していました。しかし、神山まるごと高専は学生にもスタッフさんにも「こうすべき」という枠がありません。そんな環境に飛び込んで最初こそ困惑したものの、とにかくやってみるしかない、と努力を重ね、「枠がないところで生きること」について成長できたと語っていました。

▲床で死んだふりをする廣瀬さん(上)と2期生。
私たちの学校において、スタッフさんの存在は欠かせません。でもそれは、”教師”としての役割ではありません。共に挑戦し磨き合う仲間としての関わりです。私たちは、日々授業に改善を重ね、課外活動や、自身の活動で奔走するスタッフさんを尊敬しています。これからも学生として、私自身も挑戦を続け、スタッフさんに負けず努力していきたいです。
今回の記事、いかがでしたか? いわゆる”教師”と”生徒”の関係性ではない、神山まるごと高専のスタッフの魅力を感じていただけたら嬉しいです。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
<書き手:若宮小芭音(2年)>




