2023年4月、徳島県の山あいにある町、神山町に開校した「神山まるごと高専」。全国で20年ぶりに新設された、全寮制の高校専門学校として全国から注目を集…
2023年4月、徳島県の山あいにある町、神山町に開校した「神山まるごと高専」。全国で20年ぶりに新設された、全寮制の高校専門学校として全国から注目を集めています。“テクノロジーとデザイン、起業家精神”を学べるユニークな学校には、いったいどんな学生が集まり、どのような勉強や寮生活を送っているのでしょうか。気になるあれこれを学生自らが綴る、人気連載です。
“神山まるごと高専生”の今がわかります。お楽しみください!

【第14回】忙しい毎日から離れて
”なんとなく”過ごす放課後の店、「バンビ」
書き手:下島夏さん(2年生)
第14回を担当するのは、2年生の下島夏(しもじまなつ)です。今回ご紹介するのは、毎週金曜日、神山町内で高専のスタッフさんがやっているお店「ワカモノの店 バンビ」。週に一度、放課後だけの開店ですが、学校生活に、いや人生になくてはならない、大切なひとときをもたらしてくれるお店です。

金曜日の授業が終わると、高専の寮「HOME」から10分ほど、自転車を走らせます。バンビが開かれている場所は、寄井商店街の一角。姿が見えると、高専スタッフの春田麻里さんが、声をかけてくれます。

バンビは「店」とついていますが、お金はかかりません。麻里さんが「ワカモノがなんとなく集える場所を作りたい」と、高専で授業をするかたわら、2024年1月に始めた場所です。当初は月に1回だったのが、今では毎週開催されるようになりました。
お菓子を食べたり、おしゃべりしたり、編み物をしたり、ボードゲームをしたり、宿題をしたり、本を読んだり。それぞれが思い思いに過ごしています。


「人間の未来を変える学校」を掲げる神山まるごと高専。授業や課外活動ではたくさんの学びがあり、やりたいことに向かって活動する毎日はとても充実していると感じますが、常に目的を持って行動し続けるのは苦しさもあります。また、いくつもの課題の期限が間近に迫っている時は、つい焦って視野が狭くなってしまいます。
そんなときでも、バンビに行けばいつものように麻里さんが出迎えてくれます。美味しいお菓子を食べたり、たわいもないおしゃべりをしたりしているうちに1週間の疲れも取れて、また前向きな気持ちで休日を迎えることができます。

毎週のようにバンビに通っていると、いろんな人と顔見知りになっていきます。同じ神山町にある城西高校神山校の生徒や神山中学校の生徒、地域の大人や学校の先生。特に自己紹介などをすることはありませんが、なんとなく同じ輪の中で話をしたり、一緒にベビーカステラを焼いたりしていると、ずっと友達だったかのような気さえしてきます。


誰も口にはしないけれど「ここにいていいよ」「何をしてもいいよ」というメッセージが雰囲気としてあって、いろんな話をして、楽しい。「学校」や「会社」では役割や肩書を常に求められるからこそ、そうではないバンビは、いろんな人にとって大切な居場所なんだろうなと思います。
バンビでは、イベントもよく開催されます。私が印象に残っているのは、昨年12月に行われた、クリスマスプレゼントをかけた「叩いてかぶってジャンケンポン」大会です。トーナメント形式で勝負をしましたが、周りで見ている人も大声で名前を呼びながら応援して、勝負はとても白熱しました。私はあっさり負けてしまいましたが、改めて本気で叩いてかぶってジャンケンポンをしたことはなかったので、とても楽しかったです。

私が友人とやっている本屋さん「紙屋書店」でも、何度か本を置かせていただきました。昨年の10月に行われた高専祭「まるごと祭」の前には、まるごと祭で実施した「ZINEづくりワークショップ」をバンビで開催。5人ほどが参加してくれました。いろんな話をしながらZINEを作っていくのはとても楽しく、ほとんど完成しないまま予定していた1時間は過ぎていきました。バンビではものづくりのワークショップが多くありますが、どれも表現すること、手を動かすことの楽しさを実感できるものばかりで、毎回ウキウキします。

毎週末、「ワカモノの店」として、年代や属性を超えて開かれているバンビ。今後は、毎日開かれる「エブリデイバンビ」として、場所を整備していくそうです。また、場所の移動と新築に向け、バンビでは100人から100万円を集めることで、1億円の資金集めもしています。

以上、バンビについてでした。バンビは目的や意味を考えることなく、なんとなく過ごすことのできる、とても大切な場所です。また、私はバンビで何ができるかを考えて一直線に進んでいく麻里さんをとても尊敬していて、いつも刺激を受けています。学生だけでなくスタッフさんもそれぞれが自分の挑戦をしているのはとても素敵な環境だと思うし、挑戦する人を応援する文化がこれからも続いていくといいなと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
<書き手:下島夏(2年)>
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