美しい生活道具。古くて、新しい
「遊山箱」のある暮らし[第4回]

美しい生活道具。古くて、新しい 「遊山箱」のある暮らし[第4回]

ラシクルでは徳島の伝統工芸品のひとつ、「遊山箱」に着目しました。かつては徳島の子どもたちになじみ深いものだったようです。現在では目にする機会も少なくなった遊山箱を、再び私たちの手元に戻したい、日々の暮らしの中で活用したい。そんな願いを込めて、遊山箱をシリーズでご紹介していきます。最終回となる第4回目は、山口木工さんとラシクルで考えた新しい遊山箱をご紹介します!



第4回(最終回)
出しっぱなし、使いっぱなし。
日常に遊山箱を。


シンプルで実用的。”日々の遊山箱”が誕生!

「遊山箱を使ってみたい」。

そんな声をよく聞きます。でも、どう使ったらいいのか、敷居が高くて……と、躊躇している方が多いようです。いざ思うままに使ってみると意外となんてことはないのですが、その気持ちもよくわかります。私も以前はそんな一人でした。

また、私たちの当たり前だった日常はここ数年で劇的に変化しました。思うように外食することができず、だからこそ大好きなお店の料理を食べたいという気持ちは募るばかり。そうだ、遊山箱をテイクアウトの器として使えたら!

そこで、ラシクルでは、より手に取りやすく普段使いのイメージが沸きそうな、新しい遊山箱ができないかと思い立ちました。

マイ箸ならぬ、”マイ遊山箱”。 繰り返し何度でも使えるから環境にもやさしい。しかも、取っ手がついているから持ち運びに便利です。3段の重箱に料理を詰めてもらえば、そのまま食卓に並べるだけでOK。もちろん、空の下で広げるのもOK。

▲テイクアウトをしてそのまま公園へ持って行きたい!(提供:はなや食堂)

そんなワクワクする気持ちをどんどん膨らませ、現代の暮らしに合う遊山箱を山口木工さんと一緒に考えました。

こだわった点は大きく4つ。
・大きさ
・軽さ
・デザイン
・手入れのしやすさ

試作を重ねること数か月。これらを兼ね備えた遊山箱がついに誕生しました。
その名も「日々の遊山箱」。初心者の方にも使いやすい、新しいタイプの遊山箱をご紹介します。


小さすぎず、大きすぎないサイズ感

まず、こだわったのが「大きさ」。

従来の遊山箱の大きさは、もともとこどもの持ち物だけあって小さめな作り。そこで、家族数名分の料理を入れることを想定して、一回りほど大きめに作りました。外寸は幅16cm×奥行16.5cm×高さ17cm。これは運動会やピクニックなどで用いられることの多い、5寸サイズの重箱とほぼ同程度のサイズ感です。内側の重箱は正方形。内寸は幅が12.7cm、深さは従来の重箱より少し浅めの3.8cmほど。そのまま食卓に並べても大きすぎることなく、違和感がありません。

▲従来の遊山箱(左)と比べると、一回り程度大きめ。
▲お重は使い勝手のいい正方形。ふた付きです。


持ち運びしやすいように、とにかく軽く

次に、「軽さ」。

テイクアウトの器にしたり、ピクニックや運動会などで重箱やお弁当箱代わりにしたりするなら、”軽くて持ちやすい”、これに尽きます。

▲持ち手もシンプルで子どもも持ちやすい太さ。

そこで、山口木工さんが選んだ材質は「桐」でした。桐はヒノキや杉に比べて軽く、木の呼吸により生じる反りも少ないそうです。従来の塗りの遊山箱はおよそ740gですが、「日々の遊山箱」はサイズが大きくなったにも関わらず、およそ625gと100g以上軽くなりました。これは大根(通常サイズ)の1/2本程度。もちろん、自然素材のため個体差はありますが、圧倒的に軽く感じられます。

これならテイクアウトもしやすくなり、内ぶたもついているから多少揺れても大丈夫。大好きなお店の料理をこれに詰めてもらえれば、このままテーブルに出すだけでOK。

▲テイクアウトはなじみの店などでご相談ください。KIRAHOUSEやはなや食堂(ともに徳島県徳島市)などはあらかじめ遊山箱を預けておけばテイクアウトOKです(料理内容や料金は応相談)。
▲気持ちのいい季節はそのまま外で食べたくなります。


シンプルで飽きのこないデザイン

そして、「デザイン」。

しまい込むことなく日常的に使うには、暮らしになじむことも欠かせない条件です。そこで、どの世代にもどんな家庭にも違和感なく受け入れられ、また、たとえ出しっぱなしにしていても生活に溶け込むように、シンプルなデザインにこだわりました。

あえて塗りは施さず、木地を生かし、コーティングもツヤはなし。どんなインテリアや日常の器ともよく合う佇まいに。

▲スッキリとしたデザインで誰もが手に取りやすく。

もちろん、和のイメージに限定されないから盛り付ける料理も選びません。家庭料理もプロの料理も、また、和食から洋食、デザートにいたるまで、幅広く受け止めてくれます。

▲和食に限らず、かわいい洋食もよく合います(提供:KIRAHOUSE)。
▲なんてことのないおうちごはんも遊山箱に盛り付けるだけでごちそう感が。子どもも喜んでパクパク!
▲おやつタイムや来客時にはスイーツを入れて。


油モノもOK!お手入れも簡単

最後に、「手入れのしやすさ」。

気軽に使えるように、食品衛生法をクリアしている安全で固い、ウレタンクリア塗料を重ね塗りしています。そのおかげで、油や水、汚れにも強く、お手入れも簡単。使ったあとは普段使いの器同様、洗剤を用いて水洗いすることができます。

加えて、重箱の四隅には山口木工さんならではの詰め物を施し、洗いやすさにも配慮。汚れが残りにくいため、清潔できれいな状態をキープすることができます。

▲四隅に詰め物があることで角の洗いにくさを解消。

このような実用性にこだわった仕様により、身構えることなく使うことができますが、木の重箱やお弁当箱と同様に、

  • つけ置き洗いはせず、使ったら早めに洗う
  • 水けはすぐ拭き取り、よく乾かす
  • 食器洗い乾燥機、電子レンジは使わない

これらの点に気を付ければ、美しく清潔な状態を保ちながらより長く愛用することができます。

さらに、「日々の遊山箱」は料理を盛り付ける器、お弁当箱としてのみならず、そのシンプルさゆえ家の中のあらゆる場所に自然と溶け込むのも大きな魅力。整理整頓、インテリアのアイテムとしてなど、多様な用途で活躍します。


クスリ入れに

日常的に飲んだり使ったりする薬やサプリなど、細々したものを入れておくのにも意外と便利です。見た目に美しいので、目につくところに置いていても気にならず、よくありがちな「アレはどこ?」を解消。探すことがなくなり、必要なときにいつでも手に取ることができます。

▲そこに置いているだけでもディスプレイのような佇まい。
▲家族別や用途別に分けて入れることができます。


キッチンの片隅に

使わないときもしまい込まずにキッチンに出しっぱなしにしておくのもおすすめ。あちこちに散らかりがちなお茶やコーヒーのティーバック類、小ぶりなおやつなどを収納するのにも便利です。

▲ティーバックやドリップコーヒーなどの収納にもちょうどいいサイズ。

さまざまな使い方例をご紹介してきましたが、使い方は人それぞれ。しかも、山口木工さんの手によって丁寧に作られているからこそ、安心して長く使い続けることができます。使えば使うほど育つような感覚が味わえ、愛着も増し、自分の暮らしにどんどん馴染んでくるのも手づくりならではいいところ。

とりあえず、しまわないで、出しっぱなし。遊山箱のある暮らしを一緒に楽しみませんか?


<撮影協力>
KIRAHOUSE
TEL 090-4335-0179

はなや食堂
TEL 0886-52-7337

山口木工
TEL 088-642-9020


山口木工の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

日々の遊山箱
遊山箱(ゆさんばこ)は雛まつりなどの特別な行事の時に、子どもたちが使う3段重ねの木製お弁当箱です。特別感のある遊山箱も素敵だけど、もっと身近に、日常的に使ってもらいたいと、ラシクルモールオリジナルで新たな遊山箱を作りました。