今日は、どこから見てみましょうか。
夫と私の関係性。 3月に入って早々、息子がインフルエンザにかかった。学年閉鎖になるまで広がった感染症は、私にも容赦無く襲いかかる。高熱と関節痛に耐え…
セミが鳴く。日中の気温が30℃を超える。昼過ぎからの突然の雷雨。朝早くからの草刈機の音。いよいよ今年も夏本番といった毎日が続いている。子どもたちは暑さに耐えきれず、週末ともなれば川遊びに夢中になっている。上勝小学校は7月21日から夏休みが始まる。それはつまり、学童に持たせるお弁当の日々が、始まることも意味している……。
野菜も季節が変わったことを教えるかのように、ピーマンやナス、きゅうり、トマトが出てきた。氷で冷やしたきゅうりに、味噌とポン酢、ニンニクをすりおろして混ぜたソースをつけて、ポリポリとかじりながらビールを飲む。夏の醍醐味の一つである。
夏の上勝町には、涼しさを求めて徳島市内や県外から多くの人が訪れる(上勝も暑いのだけれど、それでも市内とは2〜3℃の違いがある)。山犬嶽(やまいぬだけ)という苔の名所や、標高1400mの町内で一番高い山「高丸山(たかまるやま)」への登山、勝浦川での水遊びやBBQ、キャンプなど夏に楽しめるアクティビティがたくさんある。自然の中で目一杯過ごすことができる夏。もちろん海もいいけれど、山には山の楽しみ方がある。
「八重地(やえじ)」という、上勝町の一番奥の地域には茅葺きの家がある。「かみかつ茅葺き学校」(https://kayabukischool.localinfo.jp)と名付けられたこの場所は、地域の人たちが日夜手入れをして保存に努めつつ、一般の人でも参加できるような、かまどご飯や石臼珈琲などの体験ができる施設となっている。
7月中旬、私たちが運営している滞在型教育プログラム、INOWプログラム(https://inowkamikatsu.com/)に参加した台湾からのゲストと共にこの茅葺き学校を訪れた。日本の文化に触れたいという彼女たちの要望もあり、スタッフの方にお願いをして、流しそうめんと、「あめご」という上勝町特産の川魚を塩焼きで食べさせてもらうことにした。
ゲストたちは流れてくる素麺やトマト、ハムなどを箸でキャッチするのに四苦八苦しながらも、初めての体験を笑顔で楽しんでいた。私も上勝で暮らしてはいるが、竹を割って流しそうめんをする機会は滅多にない。私自身にとっても、懐かしさや夏らしさを感じる時間となった。
上勝阿波晩茶はこの時期、茶摘みの最盛期を迎える。今日もカフェには何名か、茶摘み帰りに涼みに来たというお客様がいらした。茶摘みの人手は、年々確保が難しくなっている。
上勝阿波晩茶協会では、2021年から「桶オーナー制度」(https://www.kamikatsuawabanchakyokai.com/)を始めていて、茶葉を漬け込む桶ごとにオーナーになれるというこの仕組みに、県内外から申し込みがあるようだ。上勝阿波晩茶は茶畑があるわけではなく、山に自生する茶の木からお茶を作る。人手不足だけでなく、自然のものだからこそ、天候によっても収穫量が変わってしまう。町内の農家さん同士でお茶の出来具合などの情報交換をしながらお茶を作る。いろんな難しさがある中で、今年も新茶を心待ちにできることは、ありがたいと思うし、できる限り私も手伝いたいと思う。
7月29日には上勝町の夏祭りが開催される。小さなお祭りだけれど、花火が間近でゆったり見えると評判だ。町民はもちろん、出身者や町外の人もたくさん集まる。みなさまにもぜひ、ご覧いただきたい。
夏は始まったばかり。少しでも山の夏、上勝の夏の過ごし方の参考になれば嬉しい。
SNSでとても美しい和菓子の写真が流れてきた。半透明な琥珀糖から覗く一粒のピスタチオ。涼しげで、趣のあるその和菓子に見惚れて、写真を何度も眺めていた。
調べてみると、菓子工房「御菓子丸」が制作する「はんげしょうの宝珠」という和菓子だった。京都に「両足院」という禅寺があり、毎年夏になると半夏生という植物の開花に合わせてお庭が特別に公開される。その時期にしか購入ができない、特別な和菓子だった。
ある日犬の散歩をしていると、不意に目をやった先にあったのは、なんと調べていた半夏生‼ 毎年この場所で咲いていたのかもしれないが、気付いたのはこの時が初めて。一緒に散歩をしていた夫は、興奮する私を冷ややかに見ていたが、リアルな半夏生に出会えた私は、芸能人にでも会ったかのように写真に収めたり、まじまじと見入ったりしていたのだった。
花言葉参考図書:『植物画で彩る 美しい花言葉』(二宮孝嗣/ナツメ社刊)