“にし阿波”の山へ、町へ。文化と暮らしを探る旅。【第3回後編】

“にし阿波”の山へ、町へ。文化と暮らしを探る旅。【第3回後編】

第3回<後編> “にし阿波”に根付くご飯のお供

【前編】では、三好郡東みよし町を尋ねて“にし阿波”ならではの発酵食品「しょいのみ」をご紹介しました。
後編は美馬市美馬町へ。古くからこの地で栽培されている青とうがらしを用いた加工品づくりの現場を訪れました。


美馬町のとんがらし

伝統発酵食品「しょいのみ」が根付く東みよし町から車で東へ20分ほど。ここ美馬市美馬町では、青とうがらしを使った「みまから」という激辛のご飯のお供が親しまれているようです。

▲辛味はハバネロ、糖度はメロンに並ぶと言われる「みまから唐辛子」。約20センチほどの大きさで肉厚。

「美馬町にはむかしから“とんがらし”と呼ばれる地域の青とうがらしがありました。父が子どもの頃は、虫避けとしてとんがらしをあちこちに植えていたんですよ」と、話してくれたのは「美馬交流館」の逢坂祐美子さん。この青とうがらしは「みまから唐辛子」と名付けられ、町の特産品となりました。

地域の味を商品化

強い辛味と旨味を併せ持つ「みまから唐辛子」を、醤油漬けにして食べたり、油に漬けて保存したりと、家庭ごとの調理方法で楽しんできたそうです。

そして2007年、町おこしの一環で町民からレシピを募り、その中から試作を重ね、商品化したのが激辛薬味「みまから」です。

▲ 三頭山や吉野川といった美馬町の風土を描いたパッケージデザインは15年ほど前に当時の地元の高校生が考えてくれたもの。

輪切りにした「みまから唐辛子」を、醤油、みりん、鰹節、ごま油などで炒り煮して仕上げた「みまから」は、ピリリッと刺激を感じる旨辛い一品です。

▲ 辛いもの好きな人はたっぷりと。全国の激辛好きにも好評だとか。

「みまから」の辛さを守るため

元々この地域で盛んに栽培されてきた葉タバコに変わって「みまから唐辛子」が育てられるようになりました。

▲ 標高550メートルの高地にある契約農家さんの畑で栽培されている「みまから唐辛子」。

「とうがらしにとってストレスフリーになるよう育てることで、しっかり辛味と旨みが濃いとうがらしができるんです」。

しっかり栄養が行き届くよう手作業で丁寧に間引きします。そうして「みまから唐辛子」への負荷を減らすことが、大きくて辛くてまっすぐな唐辛子になるポイントだと言います。

▲ 小気味良いリズムで「みまから唐辛子」を切るザクザクという音が響きます。

「みまから」づくりはとうがらしの収穫期と同時期、つまり夏の短い期間だけ行われます。

「みまから唐辛子」の辛さをそのまま生かすため、調理方法にもひと手間があるそうです。それは機械化することなく、包丁で切ること。ザクザクと一気に繊維を断ち切ることで、一番辛味が強いという胎座と呼ばれる白いワタや種の部分の辛味がしっかりと残るそうです。

▲ 手際よく青とうがらしの下処理を行っています。
▲ 「みまから」をつくっている「美馬交流館」のみなさん。

卵かけごはんや納豆ごはんに混ぜるのにも相性良し。鍋や麺類の薬味にもおすすめです。

「マヨネーズと和えて旨辛ディップにしたり、それをトーストに塗ってチーズをかけて焼いたりするのも美味しいですよ」。

美馬の寺町をぶらり

帰り道には逢坂さんから教えていただいた美馬町の歴史あるスポットとして、願勝寺や安楽寺など4ケ寺が集まった寺町と呼ばれるエリアをぶらりと散策。隣町の美馬市脇町は「うだつのある町並み」で有名ですが、美馬町にもこんな風情を感じるスポットがあるとは新たな発見でした。

▲ 4ケ寺が寄り添うように建つ寺町エリア。

ほかにも、古墳がたくさんあったり、「郡里廃寺跡(こおざとはいじあと)」という約1300年前に建てられた県内最古の寺院跡があったりと、歴史ある美馬町の知られざる魅力をたくさん知ることができました。詳しくは美馬市の観光情報をチェックしてみてくださいね。

第4回は、にし阿波の奥深い山々を巡ります。お楽しみに!


美馬交流館
徳島県美馬市美馬町字西荒川24-1
tel. 0883-63-3136
http://www.mimakoryukan.our-awa.jp/



美馬交流館の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

激辛薬味みまから

徳島県美馬地方に古くから伝わる良質な唐辛子を原材料にした「激辛薬味みまから」は、唐辛子の旨味を最大限に生かすため、すべて手作業で製造しています。美馬の気候風土が生み出した、どこにもないオンリーワン商品です。