第30回:学ぶ、考える、話し合う、を繰り返す。
スマホのアプリが、1年の87%を消化したと教えてくれた。オーマイゴット。いつの間に。今年一年、何をして過ごしていただろう? すでに年末モードに入りそう…
クリスマスはまだ先なのに、舞台裏について話すのは早すぎるのかもしれない。正しくは「クリスマスマーケットの舞台裏」だ。12月2日に開催した上勝クリスマスマーケット。当店を会場とした初めての開催となった。
クリスマス独特の雰囲気と、上勝のクラフトを一緒に楽しめるイベントをやりたい!と企画が始まった当イベント。町内在住のデザイナーさんにお願いして、専用のポスターやチラシも作成してもらい、楽しみな気持ちが高まっていった。
一方で、初めてのイベントということで、大変な部分も多々あった。企画から実施までの期間が短く、準備不足は否めなかったし、「やりたいこと」が先行して「できること」と、「できないこと」の見極めも苦労した。
クリスマスという言葉は特別だ。ここから連想される物、雰囲気、食べ物、人の笑い声、色、匂いが全て、12月24日と25日の二日間に向けられている。お正月に向けられる期待よりも、クリスマスへのワクワクははるかに高い気がしている。
それは幼い頃から、クリスマス会やプレゼント、ケーキなど、甘くて楽しくてうれしく過ごしてきたからなのだろう。大人になった今では、12月に入ると年末と年度末が見えてきて青ざめてしまうが、心を失いそうになるほど忙しくとも、クリスマスの音楽を聴くだけで、気持ちは高揚するものだ。
クリスマスを、イメージどおりのクリスマスとして楽しむためには、さまざまな人たちのいろんな工夫、苦労があるのだと思う。百貨店やスーパーなど、閉店してからディスプレイを入れ替えるために、多くの人たちが働いている。コンビニでは、アルバイトの人たちが、本人がそうしたいかどうかに関係なく、サンタの帽子を被って出迎えてくれる。自称“クリスマスの女王”、マライア・キャリーは彼女の代表的な歌『All I Want For Christmas Is You』を29年間毎年クリスマスに歌い続けている(マライア・キャリーはきっとクリスマスが好きだと思うけれど)。
今回のクリスマスマーケットでも、来場者に楽しんでもらおうといろんな挑戦があった。冷える屋外には、寒くないように近所の方から囲炉裏を借りてきたり、薪で火をくべたりした。結果としては、寒すぎて暖を取るには不足したのだけれど(これも反省の一つ)、囲炉裏を囲むクリスマスという、他ではあまり見ない光景が出来上がった。
今回メインで企画をしてくれたスタッフたちは、準備と不安を抱えて眠れない日々を送っていた(苦笑)。出店者の方々も、クリスマスをテーマにしたワークショップやオーナメント、ポストカードの販売などで協力をしてくれた。年末の忙しい中で、協力をしてもらえたことはとてもありがたかった。来年も開催されるかはまだ未定だが、次回開催が決まったらお知らせするので、ぜひカフェのSNS等でご確認いただきたい。
いろんな人たちの苦労や思いがあって、私たちはクリスマスを楽しめる。仕事だから、商売だから、そんな理由ももちろんある。だけれど、なんだか今年のクリスマスは、いつも以上に、いろんな人に感謝しながら過ごしそうだ。
今年も一年、お疲れ様でした。コラムを読んでくださっている方、ありがとうございます。また来年もどうぞよろしくお願いします! メリークリスマス・アンド・ハッピーニューイヤー! 良いクリスマス、良いお年をお迎えください。
草花ではないが、この時期だけしか採れない幻の柑橘「ゆこう」を紹介したいと思う。上勝町と高知県の一部でしか生産されていない柑橘(かんきつ)で、果汁をポン酢の原料として卸されることが多いのだが、個人的には他の柑橘(ゆずやすだち等)よりもダントツで好きな柑橘だ。
カフェでも果汁をシロップにしてジュースにしたり、ドレッシングに使っていたりするが、この時期は黄色い玉(上勝でのゆこうの呼び方、実そのもの)が収穫されたばかりであるから、うれしくてとにかく何にでも付けている。料理に添えたり、絞ってビールに入れたり、ジュースに浮かべたり……。酸っぱすぎず、香りもキツすぎないところが好きだ。
そんな愛してやまないゆこうも、毎年収穫する人が少なくなってきていて、生産を続けられるかの危機に陥っている農作物の一つでもある。今年は、私も半日だけだったが収穫を手伝わせてもらい、たくさんいただいてきた。搾汁して保管し、少しずつ使う予定だ。この黄色い玉の光景と搾汁の匂いは、この時期ならではの上勝を象徴している。