2023年4月、徳島県の山あいにある町、神山町に開校した「神山まるごと高専」。全国で20年ぶりに新設された、全寮制の高等専門学校として全国から注目を集…
2023年4月、徳島県の山あいにある町、神山町に開校した「神山まるごと高専」。全国で20年ぶりに新設された、全寮制の高等専門学校として全国から注目を集めています。“テクノロジーとデザイン、起業家精神”を学べるユニークな学校には、いったいどんな学生が集まり、どのような勉強や寮生活を送っているのか。気になるあれこれを学生自ら、綴っていただきます。乞うご期待!
今回より月2回の更新とさらにパワーアップ! これまで以上に“神山まるごと高専生”の今がわかります。お楽しみください!

【第7回】
「学生寮長のお仕事」
書き手:松原夢実(2年生)
今月より月2回の連載とリニューアルしました。第7回は2年生の松原夢実(ゆめみ)が担当させていただきます! 今回は、私が寮内で務めている「学生寮長」についてお話ししたいと思います。
神山まるごと高専が全寮制であることはご存知でしょうか? 学校での学びだけでなく、放課後の「課外活動」をはじめ、親元を離れて送る「寮生活」など、ここでの生活を“まるごと”学びに生かして欲しいという願いを込めて付けられたのが学校名の由来です。現在は1年生から3年生の約120名が同じ「HOME」(寮)で暮らしています。


15歳から親元を離れ、掃除も洗濯も料理(休日は給食がありません)も初めて一人で行う学生たち。私たちは「ここは小さな社会、あなたは大人」というポリシーを大事にしています。実際、1期生入学時には寮則のみが定められており、具体的な運営ルールは何一つなかったようです。新しい環境で面識のない人だらけ、ルールも自分たちで考えなければいけない。当然、トラブルだらけでした。

そんな中、現3年生の一部学生が主導で動き始め、2年弱をかけて完成したのが、今の寮組織です。点呼や清掃をはじめとした8つの「委員会」、学生の身近なトラブルのサポートをする「自治マネージャー」、それぞれが役割を果たしているのか公正な目で物事を見る「監査」。そして、学生代表として寮スタッフとのコミュニケーションを図ったり、毎週火曜日に行われる寮ミーティングの進行を行ったりするのが、私が9月から務めている「学生寮長」になります。

今年の7月ごろ、後期の学生寮長を決める選挙を行うと発表がありました。その頃の私は2つの委員会に所属しており、一つはコアメンバー、もう一つは委員長を務めていて、寮運営に深く関わっていました。その様子を見た旧学生寮長や寮スタッフから「興味ない? ゆめみんならできると思うよ」と声をかけられたことが私の学生寮長への道の始まりです。何か物事を成し遂げるのならば全体像を見られる位置にいた方が楽しいだろうという考えもあり、立候補を決意しました。

よく、学生から「学生寮長はみんなのトップ」という言い方をされます。が、実は私はこの発言に違和感を覚えています。120人もの人が集まれば、皆どこを向けばいいのか分からなくなってしまうもの。だから上に立つのではなく、同じフロアの中心に立って皆を集める役割を担う。それが学生寮長だと考えています。学生寮長も所詮学生。同じHOMEという小さな社会を構成する一人の“大人”でしかありません。ここは会社じゃない、小さなコミュニティ。そこに縦社会を持ち込むのは不自然なように感じます。
協力し合う姿勢や価値観のずれがあろうともコミュニケーションを諦めない集団でありたいと思いますし、寮を代表する一人としてそこをかっこいい人でありたいと思います。
ですが、この組織もまだβ版(未完成で試行錯誤の途中にある)。βメンタリティ(初めから完成系を求めるのではなく、β版を作り続け、よりよいものを生み出していく姿勢のこと)をVisionに掲げる私たちは、今日も明日もその先も今の状況をいい意味で否定し続け、よりよい形にするために考え続けています。

さて、今月からリニューアルした「学生まるごと日記」。月2回の更新となったことで、より鮮度の高い時事ネタを届けたいと思っています! また、私たちライターは執筆する回数が増えるのでそれぞれ学生の人柄が見えてくるのではないでしょうか? 今後もお楽しみに!
<書き手:松原夢実(2年生)>




