考えるのが好きなの、かもしれない。 人生の中で、なかなか答えの出ない「問い」を一つでも持つことができれば、人生は豊かになるんじゃないか―。 そう考え始…
ご飯を食べることと、一緒に作ること。
徳島では3年ぶりに阿波踊りが開催された。みな「この活気を待ってた!」と言わんばかりに踊る阿呆、見る阿呆となっている。友人知人のSNSからも、その楽しげな様子が伝わってくる。どこか他人事なのは、この期間中、私はカフェの営業に専念しているからだ。連日お客様が絶えない中で、私はまるで戦士と化している。外は暑い。休息を求めて来るお客様に、ふっと力を抜いて居られる場所と、回復できる食事をーー。そう思いながら、毎朝何を作ろうかと野菜と睨めっこし、料理を作り続けている。
暑さと言えば、熱中症アラートが発表される日々が続くせいで、息子の夏休みのプールは何度も中止になった。昔はプールに入れないことなんて、なかったのになぁ。暑さは気候変動の影響もあるだろうが、私の場合は自分の体力の衰えも感じる……。どちらにせよ、こう暑くては夏バテしてしまう。しっかりご飯を食べて睡眠をとり、体力を回復させなくては。そんな思いも相まって、食欲が湧きそうな夏メニューが中心となる。
ありがたいことに、夏は野菜に困ることがない。トマトにきゅうり、茄子、カボチャ、オクラ、ピーマン……。売り場に行かなくとも、この時期に出ている野菜をスラスラと挙げられる。昨年は「茄子の揚げ浸し(https://lacycle-mall.jp/magazine/serialization/3003/)」のレシピを紹介した。これはもう、お店でも鉄板の副菜である。その他にも「カボチャのクミン和え」は、スパイスが効いていて食欲を増してくれるし、「オクラのお浸し」は、冷蔵庫でよく冷やしてから食べると、身体に染みる美味しさがある。「何が食べたいかな?」とその日の気分と、毎日の天気を確認しながらランチを作る。
7月上旬、上勝小学校の2年生と4年生がカフェに来てくれた。「ゼロ・ウェイスト調理体験!」というテーマの授業で、子ども達が学校で育てた野菜をどう工夫して調理すれば、無駄なく美味しく食べられるのか。それを体験する授業だった。
当日、袋いっぱいの野菜を携えて来た小学生たち。最初に少しゼロ・ウェイストの授業をした後に、一緒に料理をした。採れたての野菜はどれもピカピカしていた。教える私も、彼らがせっかく育てた野菜を無駄にしないようにと、緊張しながら調理に入る。
トウモロコシの実を削いで、ピーマンと一緒に炒めて炊き立てのご飯と混ぜ合わせ、おにぎりに。きゅうりは三杯酢漬け。一本だけ採れたというオクラ(貴重!)は、スライスしてトウモロコシの芯でとった出汁のお味噌汁に浮かべた。
調理しながら、いろんな話をする。野菜を育てたこと、調理の方法、家で料理する?など。1時間で3品を作り、葉っぱでデコレーションして、サービスまでを終えた。みんなで一緒に食べる。給食前だというのに、モグモグ食べる子どもたち。午後からの授業も頑張れそうだね。
夏休みで子どもたちが家に居る時間も増えていると思う。調理の一部分だけでも良いから、一緒に料理をしてみよう。子どもたちにとっても自分が関わるって、楽しいものだ。そしてたくさん食べて、1日1日、元気に乗り切ろう。
プロフィール
東 輝実 / Cafe polestarオーナー
1988年徳島県上勝町生まれ。関西学院大学総合政策学部在学中よりルーマニアの環境NGOや東京での地域のアンテナショップ企画のインターンを経験。
2012年大学卒業後、上勝町へ戻り仲間とともに「合同会社RDND(アール・デ・ナイデ)」を起業。2013年「五感で上勝町を感じられる場所」をコンセプトに「カフェ・ポールスター」をオープン。その後はカフェを拠点として「上勝的な暮らし」の発掘、情報発信、各種プログラムの開発などに取り組んでいる。2015年、男児を出産し1児の母。