“にし阿波”の山へ、町へ。文化と暮らしを探る旅。
【第4回後編】山深い“にし阿波”の四季折々の風景~三好市祖谷・奥祖谷~

“にし阿波”の山へ、町へ。文化と暮らしを探る旅。<br>【第4回後編】山深い“にし阿波”の四季折々の風景~三好市祖谷・奥祖谷~

はじめに

【前編】では、山あいの地形や気候などその土地の風土を活かして生み出されているつるぎ町のあたご柿と、東みよし町のいちごを紹介しました。後編の舞台は、祖谷。にし阿波を代表する観光地を巡ります。


第4回<後編> 山深い“にし阿波”の四季折々の風景〜三好市祖谷・奥祖谷〜


にし阿波を代表する観光地

にし阿波を紹介する上で外せないのはやはり「祖谷渓谷」。
標高1955メートルの剣山から流れる祖谷川の流域に広がる渓谷で、美しい山村の風景が残る場所。岐阜県・白川郷、宮崎県・椎葉村と並び、日本三大秘境のひとつと言われています。にし阿波のみならず、徳島を代表する観光スポットです。

▲ 祖谷の観光名所といえば「かずら橋」。水上約14メートルにつくられた、長さ45メートル、幅2メートルの吊り橋です。

四国の真ん中に位置する祖谷周辺は奥深い山々が連なるエリアです。入り組んだ山肌を縫って車を走らせた先に現れる、深いV字の切り立った渓谷の風景はまさに秘境。

そんな渓谷にある名所のひとつが、祖谷川にかかる「祖谷のかずら橋」です。「シラクチカズラ」という植物でつくられた原始的な吊り橋で、「平家の落人が追手から逃れるために切り落とせるように作ったとする説や、弘法大師が困っている村人のために作ったという説」などが伝えられているそうです。

▲ 落合集落。その標高差は390メートルあるそうです。国の重要伝統的建造物郡保存地区にも選ばれています。

祖谷のかずら橋から車でさらに約30分、奥祖谷と呼ばれる山深い方へとひたすら走ると、傾斜地に立つ山村の象徴として挙げられることが多い「落合集落」に。集落の正面の山にある展望台からは、険しい山肌に沿って民家が並んでいる様子が一目瞭然。平家の落人が隠れ住んだ場所と言い伝えられています。

▲ 「落合集落展望台」で出迎えてくれるかかし。

そこからさらに約30分、奥へと走った東祖谷の名頃地区は「かかしの里」と呼ばれ、村民よりも多い約300体ものかかしが見どころ。ここかしこに飾られ、ときには住民と間違えるほど。訪れるひとを楽しませています。


渓谷の淵に建つ温泉宿へ

「祖谷らしい風景といえば、ひの字渓谷もおすすめですよ 」と教えていただいたのは、ホテル祖谷温泉の藤川敏彦さん。

▲「ひの字渓谷」。国道32号沿いに広めにとられた路側帯が展望スペースになっています。

「ひの字渓谷」とは、祖谷川がひらがなの「ひ」の字に曲がってみえることから名付けられた絶景スポット。入り組んだ深い渓谷が目の当たりにできます。「紅葉の時季も色づく木々が見事」なんだそう。

▲ 道中に撮影したホテル祖谷温泉。切り立った渓谷の淵に建っていることがわかります。

ホテル祖谷温泉は、そんな「ひの字渓谷」が見られる道を北へ約5分走ったところにあります。

谷底にある露天風呂まで傾斜度42度のケーブルカーで向かうのが名物。四国では珍しい源泉掛け流しの湯を楽しめます。宿泊以外にも日帰り温泉も楽しめるので、国内だけでなく、海外からの観光客にも人気の温泉宿です。

▲ 祖谷川の間近までケーブルカーで約5分、170メートル下って到着。

祖谷川のせせらぎを聞きながら、渓谷の自然を満喫できる露天風呂。38度のぬるめの湯で、とろみのあるアルカリ性単純硫黄温泉は、肌の汚れを落としすべすべになる作用があると言われています。

▲ 2021年にリニューアルした展望風呂では、源泉を 加温し、安定した心地よさを保つ温泉が楽しめます。

本館2階にある展望風呂では、まるで絵画のような祖谷渓が堪能できます。


祖谷の温泉水と天然水から生まれたスキンケア

そんな肌がすべすべになるという「温泉の魅力をもっと伝えたい」と、化粧水をはじめとするスキンケアシリーズ「祖谷温泉 水ものがたり」を開発し、館内やオンラインで販売しています。

▲ 温泉水を使ったスキンケアシリーズ「水ものがたり」。写真右は営業企画室室長の藤川敏彦さん、左はスタッフの瀧浦さん。

温泉水をたっぷり使った化粧水、クリーム、泡洗顔料の3種を展開。香料や防腐剤(パラベン)などが不使用なのも高ポイント。保湿成分を加え、肌に潤いをもたらしてくれます。

▲ 写真右から、手軽に泡洗顔ができる「祖谷温泉バブルソープ」、温泉水を使用した「祖谷温泉モイスチャーローション」、さっぱりとした使用感で保湿ができる「祖谷温泉モイスチャージェル」。

「このスキンケアを自宅でも使って、ホテル祖谷温泉のことを思い出して欲しい」と藤川さん。また祖谷温泉に浸かりに行きたくなりそうです。


知る人ぞ知る湧水スポット

実はこの「水ものがたり」シリーズでは、祖谷の温泉水の他に、祖谷渓谷に沸く名水も使われています。教えていただき、その名水が湧くというスポットへ行ってみました。

ホテル祖谷温泉からくねくねとした山道をひと山分東へ回り込むように走ること約40分。運良く対向車に合わず辿り着いたのが「竜ヶ岳の名水」。
香川県や愛媛県などの隣県からわざわざ汲みにくる人もいるという湧水スポットで、時間帯によっては順番待ちができていることもあると言います。

▲ 「水ものがたり」のスキンケアシリーズにも使われている竜ケ岳の湧水。ホテル祖谷温泉から約40分。

「水ものがたり」シリーズの商品づくりを追っていくと、知る人ぞ知る、にし阿波の名水スポットに辿り着くことができました。

「祖谷地方は紅葉の時期が観光客に一番人気ですが、初夏の新緑の時期も一面のあおあおとした自然が力強くて見事なんです。冬も、雪が降り積もる日もありますが、そんな雪の日にはあたりが水墨画のような風景になって素晴らしいんですよ」と、藤川さん。祖谷渓谷が四季折々で異なる表情を見せてくれることを教えてくれました。

美しい自然にあふれ、独自の食と文化を持つ“にし阿波”へぜひ足を運び、土地の魅力をまるごと楽しんでみてください。


和の宿 ホテル祖谷温泉
徳島県三好市池田町松尾松本367-28
tel. 0883-75-2311
https://www.iyaonsen.co.jp/



ホテル祖谷温泉 水ものがたりの商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

祖谷温泉モイスチャーローション(化粧水)

ホテル祖谷温泉の温泉水と地元の天然水をベースに保湿成分の植物エキスやヒアルロン酸やコラーゲンを加えた保湿力の高いローションです。イオン化された温泉水の微粒子がお肌の角質層まで浸透します。