誰もが喜ぶ、ニュー・トクシマ・ソウルフード

誰もが喜ぶ、ニュー・トクシマ・ソウルフード

鉄板の差し入れ

徳島市や三好市からだと車でおよそ1時間。
ほとんどの徳島県民はここのジェラートのために長時間車を走らせます。県西部に行く人を見つけると「帰りにドルチェ買ってきてぇ〜」と言います。子ども、若い女性はもちろん、おじさん世代までも、このジェラートを差し入れると必ず全員のテンションが上がり、「センス良いね!」とか「さすがやん!」と、褒めてくれます。

鉄板の手土産。いえ、徳島ラーメンや阿波尾鷄に続くソウルフードと呼んでも良いほどに、誰もが大好きなイタリアンジェラート専門店が「ドルチェ」です。

▲創業当初から季節を問わず、たくさんの人が訪れています。

いい香りのするジェラート

今年で創業24年。大人気の理由は多々ありますが、核となるのはジェラートのベースとなる牛乳です。隣町、上板町の牛舎で搾られた新鮮な生乳を低温殺菌。新鮮なうちにジェラートベースへと仕上げ、毎朝出来立てを提供することで、栄養たっぷりで豊かなコクを実現させています。

定番人気の「しぼりたて牛乳」は、口に入れる前から柔らかな牛乳の香りが漂い、舌の上でと溶けた後は心地良い風味が鼻を抜けます。出来上がったジェラートベースとなる牛乳を専用機械に入れて約7分。文章で伝えることは難しいですが、出来立てを取り出した瞬間の厨房がミルクの香りに包まれるほどです。口コミでもよく耳にしますが、ドルチェのジェラートは“いい香り”がするのです。

▲ジェラートのベースとなる牛乳。
▲きなりがかっていたベース。完成後はまぶしいほどの純白色に。

「食べられるモノはすべてジェラートにします」

ホームページには、本日並んでいるフレーバーが毎日アップされます。とある日のラインナップは、
・しぼりたて牛乳
・チョコマーブル
・塩キャラメル
・抹茶
・焼き芋
・ヘーゼルナッツ
・ブルーベリー
・バレンシアオレンジ
・ゆずシャーベット
・ピスタチオ
・とうもろこし
・モンブラン
・あずき
・ラムレーズン
の14種類。

取材に伺った日(2021年6月上旬時点)でも10種類と、フレーバーの多さに初めて訪れた人は必ず驚かされます。フルーツやチョコ、キャラメルなどはほかの店でも見かけるかもしれませんが、目を引くのは焼き芋やとうもろこし。ほかにも、地元、阿波市の名産である白なす(美〜なす)など野菜類が並ぶこともしばしば。

豊かな土壌と素晴らしい農家を有する地元ならではの特色と、二代目店主・逢坂英明さんの創作意欲が加わり、現在までで約100種類ものフレーバーが登場しています。今は採用されていないアイデアもありますが、一年を通して季節ごとに70種類ぐらいが並び、いつ行っても初めての味が体験できるのも人気の理由です。

「食べられるモノならなんでも挑戦しています。TVを見ている時に思いついたり、お世話になっている業者さんに勧められたり。近所の産直市やスーパーなどでひらめくこともあります。農作物が豊富なこの町だけの味が作れたらと思っています。最近はメニュー開発のペースは落ちていますが、今年の春に登場した桜の花びらの塩漬けは、香りが最も楽しめるフレーバーでした」。

使用しているフルーツや野菜はどれもがもっとも美味しい時期に、採れたての状態でジェラートになります。素材のポテンシャルをここまで感じられるジェラートは、都市部では味わえない、田舎にしかない体験ではないでしょうか。

▲専用の冷蔵庫の角にびっしり貼ってあったフレーバーを書いた付箋たち。明日はどの子が出来上がるのでしょうか。
▲ケースの前では子供のようにウキウキしている大人たちがほとんどです。
▲お店ではカップをコーンに変更することができます。定番の「しぼりたて牛乳」の上に、同じく定番の「すだちハニー」をオン。すだちの果肉とハチミツの甘みが小気味よいアクセントに。
▲現在、店主を務める逢坂英明さん。

素材のポテンシャルを引き出す甘さの微調整

搾りたての牛乳と多彩なフレーバー。ドルチェが幅広い世代・嗜好の人々に受け入れられる理由は、これらふたつの素材をつなぎ合わせるために加えるグラニュー糖の絶妙な加減にもあります。「食べられるモノならなんでも」と語っていた逢坂さんですが、素材の最大値を引き出すための甘さの調整はとても難しいと言います。

「当たり前ですが、野菜と果物では糖度が全然違いますし、同じ素材でも出始めと終わり際では味が変わります。いかに素材と対話するか。17年作っていますが、まだまだ上手くいかないこともあり、ジェラート作りは奥が深いと思わされる瞬間が今でもあります」。

この日味わったブルーベリーは果肉が小粒で残るほどの大きさにクラッシュし、食感を残すことで香りと味を強調。グラニュー糖の甘さは感じますが、あくまで主役であるブルーベリーの甘味と酸味が主役になるように仕上がっています。

口の中で牛乳の柔らかな風味が素材を引き立ててゆく連鎖は、「ジェラートにした方がフルーツは美味しくなる!」と叫びたくなるほどです。勝手な想像かもしれませんが、甘いモノが得意ではない人たちに愛されてる印象。特に男性(私も!)から支持が高いように感じます。

▲ブルーベリーは隣町の美馬市・穴吹町産まれ。
▲グラニュー糖をベースとなる牛乳と一緒にクラッシュ。
▲粒をあえて粗く残すことによってかすかな食感が生まれます。紫陽花のような淡い紫が美しい!

現地の空気とともに味わってほしい!

家でこの味が楽しめるのは幸せなことですが、「ドルチェ」の良さはお店そのものにもあります。緑で覆われた愛らしい外観をくぐると、目でも美味しい色とりどりのジェラートが詰まったショーケース。選んでいる時から“美味しい”が始まります。上勝杉で囲まれた席に着くと、一面の田園風景と奥には標高1133メートル、別名「阿波富士」とも呼ばれる高越山。

また、店の左奥には県内作家の作品を集めた雑貨店ドルチェプラスが併設。カラフルなファブリックを使用したバッグ。食器やアクセサリーなど、ここだけのアイテムにも出会わせてくれます。

▲スペースは小さいながらも豊富な商品量。定休日の火曜日には「ザ・火曜日=雑貨曜日」という物販イベントも開催しています。

自然・地域・人の豊かな共存を願って

また、「ドルチェ」は徳島県による「とくしまエシカル消費宣言」に賛同し、店独自のシステムを用いながら、“エシカル消費”に積極的に活動しています。“エシカル消費”とは、欧州から始まった、環境・人・社会・地域における社会的課題の解決を目的とする消費活動を意味します。簡単にいうと、人や社会、地球環境や地域に対して十分に配慮された商品やサービスを選んで、買い求めることです。

「ドルチェ」では食材はできるだけ地元産(県内産)を貫き、店の内外装にも県内・上勝町産の杉を採用。また、「うちの子も よその子も まちのたから」をキーワードに、オリジナルエシカルシールを作成し、そのシール付き商品を購入することで「阿波市内NPO法人による子育て支援」に寄付ができる仕組みを構築しました。

ジェラートづくりの過程でできることに加え、私たちが店を利用することで、“エシカル”という言葉を身近に感じさせてくれます。このように、自然と地域と人が長く持続できる未来を願い、当たり前のことのように取り組まれているのです。

今はまだお店に訪れることが叶わない方もいるかもしれませんが、いつかはぜひ現地の空気とともに、ジェラートを楽しんでみてください。

▲上勝杉を使った気持ちのいい店内。訪れた際には、のどかな景色が目の前に広がる窓際の席でぜひゆっくりと。

イタリアンジェラート Dolce(ドルチェ)
徳島県阿波市阿波町大道北190-1
http://tokushima-dolce.com/


イタリアンジェラート Dolce(ドルチェ)の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

ジェラート専門店ドルチェの人気メニューおまかせ12個入りセット(120mlカップ12個入り)
徳島県産の新鮮な牛乳をベースに、季節ごとの食材から定番フレーバーまで日替わりの手作りジェラートの中から特に人気のフレーバーを12個厳選しました。