「阿波しじら織」で涼やかな暮らし
[第3回]

「阿波しじら織」で涼やかな暮らし<br>[第3回]

徳島生まれの「阿波しじら織」は、でこぼことした独特の縮みを持つ木綿の織物。肌触りはさらりとしていて、なんとも言えない風合いが魅力的です。特に阿波藍を使用したものは「阿波正藍しじら織」と呼ばれ、1978年には国の伝統的工芸品に選ばれました。最終回では、「阿波しじら織」を使った様々な生活雑貨やインテリア小物をご紹介します。




第3回
こんなところにも「阿波しじら織」

さらさら気持ち良い「阿波しじら織」スリッパ

「徳島ならではの生地の、歴史やストーリーに興味を持っていただいて、手に取ってくださる方も多いんです」と、見せていただいたのは阿波しじら織や藍染めした生地でつくられたスリッパ。徳島の伝統工芸とコラボした室内履きスリッパシリーズは「Ai Blue(アイ・ブルー)」と名付けられました。

手がけたのは吉野川市山川町にある1962年創業の「佐藤化学」。数々の室内履き物のOEM製造(他社ブランドの製品を製造すること)を行ってきた国内有数のスリッパ製造メーカーです。「Ai Blue(アイ・ブルー)」はこの「佐藤化学」のオリジナルブランドとして誕生しました。

▲ 「佐藤化学」取締役・佐藤寛さん。

「甲のあたりに少し余裕を持たせたフォルムにすることで、ちょうど良い履き心地のスリッパになるんです。伸縮性がある阿波しじら織を使うことで、さらに足に馴染みやすいスリッパに仕上がりました」。

室内でリラックスして過ごしてもらえるよう、履き心地の良いスリッパづくりに注力してきた「佐藤化学」の想いに、阿波しじら織はぴったりの素材でもありました。

▲ かわいい柄が豊富な「阿波しじら織」のスリッパたち。
▲ 「ソフトスリッパ 」。歩いている途中で脱げないよう、履き口のフォルムにひと工夫があります。

足にフィットして、軽くて肌触りが良いのが、阿波しじら織のスリッパの魅力です。

日本らしい精細なものづくり

履きやすく脱げにくいフォルムのほか、裏底は、足音が響きにくく、年配の方でもつまずきにくい硬さのものを。裏面の生地は、吸水性と強度が良い綿100パーセントに。

スリッパづくりの話を聞けば聞くほど、履く人のことを考え尽くされた細やかな配慮の数々に驚かされます。

そしてその想いやこだわりを支えているのは、熟練の技を持つ職人さんたち。

▲ 自動で大量にカットできる裁断機も活躍する一方で、小ロットのものや、阿波しじら織のように伸縮しやすい生地は、昔ながらの金型を使ってひとつひとつ手作業で裁断。創業当時からの裁断機が現役で活躍中。
▲ 生地の内側に挟むウレタンの芯の裁断の様子。
▲ 縫製する前に、ウレタンの芯と生地を糊付けする作業。熱を加えて圧着させます。
▲ スリッパの製造方法はいくつか種類がありますが、こちらは加熱した足型に生地を当ててアーチ型に整え、糊付けしたあと縫製していく製法。
▲ ソール部分を縫製するミシンには土台が無く、宙で位置を調整しながら縫い合わせるというもっとも高度な技術が必要!
▲ 曲線の多い縫製にも関わらず、手際良くスピーディーに縫い進めていく職人さんたち。

「海外での製造が増加し、国内のスリッパ製造メーカーはごくわずかに。日本のものづくりだからこそできることを追求し、細やかで丁寧な技術でつくる履き心地の良いスリッパを提案していきたいですね」。

阿波しじら織×ささ和紙のサンダル

徳島の伝統工芸のみならず、日本らしい様々な素材とのコラボにも積極的に取り組む「佐藤化学」。「ささ和紙」と呼ばれるクマザサからつくられた和紙素材を使用した室内用サンダルが誕生しました。

▲ 鼻緒の部分に藍染めした阿波しじら織を使用。

内底に「ささ和紙」をパイル状にした素材を使用した、「阿波しじら織」と「ささ和紙」のサンダルです。

「ささ和紙」は、適度な硬さがあり、吸湿性が良いのが特徴。素足で気持ちよく履くことができるので、蒸れやすい夏におすすめの一品です。

▲ 足裏に当たる部分の接着面が少ないことも「ささ和紙」の履き心地の良さの秘密。

長年のスリッパ製造で培ってきた知恵と技術力を活かしながら、日本らしいものづくりを守り続けていく「Ai Blue」の商品づくりがこれからも楽しみです。


暮らしに馴染む「阿波しじら織」を使ったスピーカー

木製スピーカーをはじめとするオリジナル木製商品の製造販売を行う「ヨシモク」。2016年に徳島市で開業してまもなく、当時のスタッフからの提案で木製スピーカーのカバー素材として採用したのが「阿波しじら織」でした。

▲ 「ヨシモク」代表・吉崎準二さん。

「風合いの良い阿波しじら織のおかげで、暮らしの中に馴染む木製スピーカーになって好評なんです」と、代表・吉崎準二さん。

一般的に音響機器と言えば無機質な印象のものが頭に浮かびますが、豊富な柄と軽やかな雰囲気を持つ阿波しじら織のカバーと組み合わさった「ヨシモク」の木製スピーカーは、温かみがあり、ナチュラルな暮らしにもぴったりです。

小型木製スピーカーならでは

「ヨシモク」が手がける木製スピーカーは主に、デスクやテーブルの上に置いて少人数で楽しむ小型サイズのもの。コンパクトながら音質にもこだわっていて、いつでもどこでもカジュアルに音響を楽しめます。

▲ デザイン細部へのこだわりも光る「SOUND FLY SJ」。Bluetooth対応の木製無線スピーカーです。

木材には無垢の木を使用しているのもこだわりのひとつ。

「無垢の木は長時間聴いていても疲れない柔らかな音色が出ます。ただ、メーカーはあまりつくりたがらないものなんです。木目を揃えて組み立てることに手間がかかることや、管理が悪いと割れてしまうから。小ロットで製造し、自分一人で管理ができるからこそ、無垢のスピーカーがつくれたんです」。

▲ 好みの柄を選ぶのも楽しい「しじら檜スピーカー」。持ち運びや贈り物にも最適な専用の巾着袋付き。

何度も試行錯誤したという角の丸みや、フラットなボタンの設計など、細かなデザインにもこだわりが見られます。また、まるで木をくり抜いたと見紛うほど継ぎ目がわからない組み方は信頼できる木工職人によって成せる技。
一点一点のものづくりに手を抜かず、愛情深く向き合っているのを感じます。

▲ USBに繋げればどこでも楽しむことができます。

デジタル製品もひと工夫で様変わり

「こういうのも面白いんじゃないか」と、湧き出るアイディアを形にし続ける吉崎さん。スピーカー以外にも様々な木製商品を発表しています。

阿波しじら織と電子機器という新感覚の組み合わせは電子時計にも! LEDによるデジタル表記の冷たい印象も、阿波しじら織のカバーがあるだけで優しい表情に一変しました。

▲ 青色のグラデーションが美しい、「阿波しじら織」をまとったデジタル時計。

スピーカーづくりに魅せられて

「小学校高学年の頃に真空管ラジオをつくったんです。それから自分でオリジナルのスピーカーづくりをするようになりました。当時ビートルズのファンだった姉と毎日一緒に真空管ステレオで音楽を聴いていて、自然と音響にも興味を持ち始めたんだと思います」。

小さい頃から音響やものづくりが好きだったと話す吉崎さん。大学で音響の研究をした後、徳島に戻って、木製ドアや建具を製造する家業の「吉崎木製工業」で働きながらも、趣味としてスピーカーづくりは続けていたのだそう。「ヨシモク」を開業後は、自分のアイディアとひたすら向き合うものづくりをしています。

「小ロット製造だからできることがある。自分のつくったものが売れるのはやっぱり嬉しいですね」。

▲ 手前の小型スピーカーが「ヨシモク」の第一号の商品。
▲ 新商品を開発中です!

「次の展示会で発表するためのスピーカーを試作中なんです」と話す吉崎さんの手元の紙には緻密な計算式とたくさんの数値が書かれた設計図が。最新技術を取り入れながら、よりコンパクトで、より高音質な木製スピーカーを目指しているのだそう。「高音質を追求していくのが音響の世界のさだめですからね」と楽しそうに笑う吉崎さん。まだまだ探究心は尽きることがないようです。


有限会社 佐藤化学
徳島県吉野川市山川町三島319-1
tel. 0883-42-2018
https://satokagaku.com/

ヨシモク
徳島県徳島市末広1-2-9
tel. 088-625-2534
http://yoshimoku.co.jp/



Ai Blueの商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

阿波しじら 彩(いろどり) スリッパ (グラデーション)Mサイズ

徳島伝統工芸品の阿波しじら織りを贅沢に使ったスリッパです。しじら織は糸の張力差を利用して、織り上げ「ちぢみ」に仕上げてあり肌ざわりがよく軽くて着やすい織物です。


ヨシモクの商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

SOUND FLY SJ 木製無線スピーカー

木の無垢材を生かした優しいデザインと温かみのある音色、低音の魅力を。伝統の藍色グラデーションのしじら織りスピーカー保護ネットは、気品ある美しさで和風にもモダンにもインテリアにしっくりと馴染みます。