[連載コラム][第27回]
今日は、どこから見てみましょうか。

[連載コラム][第27回]<br>今日は、どこから見てみましょうか。

夏休みの宿題との格闘。

日本棚田百選に選ばれている上勝町の「樫原(かしはら)の棚田」は今、青々とした美しい田んぼの光景が広がっている。5月頃に植えた苗が秋に向けて少しずつ成長し、草抜きや草刈り、水の管理を続けている人たちのおかげで、今年も夏らしい緑色の絨毯を見ることができている。


季節は夏から秋へ移ろうとする中、夏休みも半分が過ぎ、小学2年生の息子がいる母としては、宿題の進み具合が心配な今日この頃。毎日のように「宿題は?」と息子に聞くと同時に「今日はどれだけ息子と一緒に宿題する時間をとりましたか?」と、自分が自分に聞いてくる。ドリルも自由研究もポスターも、自分で進んでやってくれることに越したことはないが、一緒にやると言うのも思い出の一つ。自分が幼い頃も、母に教えてもらいながらやっていたな、と思い返しながら、自分のスケジュールの中に、息子の宿題時間を組み込んでいく。

台風の日は宿題日和⁉ カフェにこもって夏休みの宿題に取り組む。宿題は、親と子の二人三脚……!

去年は読書感想文に苦しんだ経験がある。書き慣れない長い文章に、もう書きたくないとグズる息子。途中で、書いていた原稿用紙が指定されていたものと違うことに気づき、最初から書き直す羽目に……。号泣する息子をなだめながら、なんとか書き終えたものの、読書感想文への抵抗感を残してしまったのだった……。


今年はどうやって読書感想文を終わらせようか。夏休みが始まった時から、息子以上に私が緊張していた。けれども、1年で息子も少し成長したようである。習った漢字を入れながら、少しずつ書き進めていくことができていた。

息子が選んだ本『大きい1年生と小さな2年生』(古田足日著、偕成社刊)だった。中でも特に息子が気に入って読んでいたのが「まさやは、いえでする」というエピソード。

お母さんの言うことを聞かなくて、怒らせてしまった小学3年生の「まさや君」。お母さんに自分のおもちゃや絵本を捨てられそうになり、悲しくて家出してしまう話だ。家出したものの、お金がないことに気づき、自分の部屋に財布を取りに戻るのだが、買い物しようと財布を開けると35円しか入っていなくて驚く。そのくだりで息子は「35円⁉」と笑い、印象的だったのか、その場面を読書感想文に書いた。

「もし、ぼくがまさやくんみたいに、いえでをすることを考えると、ごはんをたべるときとか、ホテルにとまるお金がひつようだから、10万円はもっていきます」。私は、「10万円なんてどこにあるの?」「何日くらい家出する気よ?」とツッコミを入れてしまったのだが、「現金じゃなくて、クレジットカードを持って行った方がいいよ」と、より現実的なコメントをする夫がいて、自分はまだかわいい方だな、と思ったのだった。そんなこんなで、幸い今年の読書感想文は、文章を読んでの息子の捉え方や、そこから派生する家庭内での話が面白い経験として終えられた。


登校日まで残すところ1週間ほど。世のお父さんお母さん、追い込みですね。はてさて、どうなることやら……。共にがんばりましょう!


〈今月の草花〜上勝だより〜〉

提灯のような形から、ご先祖様が帰ってくる時の目印に、ということで盆飾りに使われているホオズキ。お盆時期に町内の産直市に出ていたホオズキは、コンテナいっぱいに入っていて、「ご自由にお持ち帰りください」という札が置かれていた。「本当に持って帰っていいんですか?」と店員さんに聞くと、「この前はおじいちゃんが、被っとった帽子にいっぱい持って帰んりょったわ」と言うので、遠慮なくいただくことにした。

手洗いのところに飾ったホオズキ。庭に落ちた青栗と合わせれば、秋らしさが一層増す。

鮮やかな色のホオズキは、ちょこんとテーブルに置いてもかわいらしく、秋を感じさせてくれるアイテムだ。家にたくさんあるからと、無償で提供してくれている農家さんに、心の中で「ありがとうございます!」と呟きつつ、帽子いっぱいに抱えて帰ったおじいちゃんは、お盆飾りかな? 他にはどんな風に使うのかなと、想像する。コンテナいっぱいだったホオズキは、産直市に寄るたびに少なくなっている。


花言葉参考図書:『植物画で彩る 美しい花言葉』(二宮孝嗣著/ナツメ社刊)