徳島平野「きた阿波」に広がる、美味しい恵みを求めて【第1回後編】
生産量全国No.1の野菜から生まれたもの~板野町~

徳島平野「きた阿波」に広がる、美味しい恵みを求めて【第1回後編】 生産量全国No.1の野菜から生まれたもの~板野町~


【前編】では藍住町を訪れ、全国生産量No.1の白うりでつくる奈良漬をご紹介しました。後編では板野町へ。徳島を代表する野菜のひとつ「にんじん」から魅力的な商品が生まれていました。

<第1回>後編
阿讃山脈のふもとに広がるにんじん畑


阿讃山脈のふもとに広がるにんじん畑

「きた阿波」には、白ウリ以外にも生産量全国トップクラスの野菜があります。それはにんじん。年間生産量は北海道、千葉県に次いで第3位。しかも、春に収穫する春にんじんにおいてはなんと全国第1位!

阿讃山脈のふもとに広がる徳島平野では、秋から春にかけてたくさん建ち並ぶ小さなビニールハウスが板野郡の風物詩。畝(うね)ごとにトンネル状に防寒用シートをかけることで冬の低温下で発育を促す“トンネル栽培”と呼ばれる栽培方法で、3月から5月に収穫する春にんじんが育てられています。徳島県では1955年(昭和30年)頃から西洋にんじんの生産の試作を開始し、昭和40年代に急速に規模を拡大していったそうです。

讃岐山脈とにんじん畑
▲ 讃岐山脈とにんじん畑の様子。(画像提供:36食堂)

規格の箱に入らない不揃い野菜を活用したい!

そんな春にんじんの一大産地、徳島県板野郡へ結婚を機に越してきた香川県出身の藤田ちほさん。「夫の同級生や先輩など周辺の農家さんはだいたいにんじん農家。春になると“形が悪いから”と、食べきれないほどのにんじんをいただくんです」とその美味しさに驚いたという藤田さん。地元香川へ帰るたびに友人たちへお裾分けしていましたが春にんじんの旬は春から初夏までの3ヶ月程度。

「近所の畑で遊んでいた娘に『なんでこんなににんじん捨てられとるん?』と聞かれたことや、行き場のなくなった訳ありにんじんが畑に大量に捨てられていた光景が、ずっと心に残っていたんです」

「36食堂」代表の藤田ちほさん
▲ 「36食堂」代表の藤田ちほさん。(画像提供:36食堂)

そこで、「訳ありにんじんを活用して、旬以外にもこのにんじんの美味しさを伝えられるお土産があれば!」との思いから、香川県在住時に印刷会社で商品開発のディレクターをしてきた経験を活かし、2023年に「36食堂(サンロクしょくどう)」を立ち上げました。

大量の不揃いにんじん
▲不揃いにんじん。(画像提供:36食堂)

簡単なのに手の込んだプロの味

「36食堂」は、山麓(さんろく)の町、板野町で生まれた美味しいものを発信したいと“不揃い”の野菜を使った加工品を展開するブランドとして誕生。まず第一弾として開発したのが春にんじんシリーズです。

「まぜるだけのごちそう野菜ペースト」
▲「まぜるだけのごちそう野菜ペースト」。豆乳や牛乳を混ぜるだけで簡単にスープの完成! 他、リゾットやドレッシング、パスタソースの素として使っても◎。

「まぜるだけのごちそう野菜ペースト」は、ご近所さんなどに大量に分けてもらったニンジンを使って藤田さん自身がよくつくっていた”にんじんスープの素”をベースに、プロの手を借りながら味の改良を重ね、商品に仕上げました。これに豆乳や牛乳を混ぜて味を整えれば、忙しい日でも簡単に手早く美味しいにんじんスープの出来上がり!

36食堂の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。
まぜるだけのごちそう野菜ペースト

「ほりこむだけの丸ごと野菜ご飯の素」
▲ローリングストック(普段からの備蓄食材)に追加したい「ほりこむだけの丸ごと野菜ご飯の素」。

「ほりこむだけの丸ごと野菜ご飯の素」はその名のとおり、2合分のお米に混ぜて炊くだけで完成。一番の出汁はにんじんの甘味。さらにナンプラーやローリエが隠し味になった鶏ガラベースの洋風炊き込みごはんは、何杯もおかわりしたくなるクセになる味わいです。

土鍋に入ったにんじんご飯
▲素を入れて普段どおり炊き上げたら、ざっくりとにんじんをほぐしていただきます。

「冷めても美味しいです!」と話す藤田さんのイチオシは、このにんじん炊き込みご飯を使ってつくるおにぎりです。

にんじんごはんおにぎり
▲ナンプラーやローリエが効いたごはんは塩加減もちょうどよく、冷めても美味しいおにぎりに仕上がりました。

36食堂の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。
ほりこむだけの丸ごと野菜ご飯の素(米2合分)

「シナモン薫る大人の春にんじんジャム」
▲「シナモン薫る大人の春にんじんジャム」をアイスにかけるだけで洋菓子のような上品な味わいに。

まるでキャロットケーキのような味を楽しめる「シナモン薫る大人の春にんじんジャム」は、 パンに塗る以外にも、ヨーグルトやアイスクリームに載せて食べるのにおすすめのデザートジャム。さらに、「春にんじんの季節になったことを伝えたい!」と、限定200個で新登場した「今年とれたそのまんまの春にんじんジャム」は、てんさい糖とレモン果汁のみで仕上げたジャム。フレッシュで甘い、春にんじんの味わいが贅沢に楽しめる一品です。

36食堂の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。
シナモン薫る大人の春にんじんジャム

どれも簡単に調理ができるのに、春にんじんの美味しさが味わえて、そしてオシャレな食卓に早変わりさせてくれる商品たちです。


板野町を見渡せる公園へ

藤田さんのこの町のおすすめスポットは、“恐竜公園”こと「板野町歴史文化公園」です。JR板野駅から車で5分程度のところにあります。
近くには、一年を通して家族連れでにぎわう「あすたむらんど徳島」や、露天風呂が気持ちいい「あせび温泉」など、憩いのスポットが集まるエリアです。

板野町歴史文化公園にある空想上の恐竜「イタノザウルス」
▲板野町歴史文化公園にある空想上の恐竜「イタノザウルス」の遊具。

「ゆったりとした公園で、長い階段を上り切った高台から板野町が見渡せる好きな場所です」

板野町歴史文化公園から見渡す板野町
▲板野町歴史文化公園から見渡す板野町。穏やかな田園風景が広がっています。

今後は「農家さんの人手不足を解決したい」と、繁忙期のみの働き手「アグリワーカー」の派遣のサポートも計画中だと藤田さん。その活動の輪はどんどん広がっていきそうで楽しみです。

第2回は、「きた阿波」の定番名産品から誕生した商品たちをご紹介します。


36食堂
https://36shokudo.theshop.jp/

Instagram @36shokudo



36食堂の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

春にんじんセット

春にんじんの商品を3つまとめてお楽しみいただけるセットです。徳島県板野町は日本でも有数の春にんじんの一大産地。甘さをしっかりと蓄えた板野の春にんじんは、果実のようなフルーティーな甘さが特徴です。