メリノウール100%×藍
天然素材と天然染料で作られた
極上のデイリーウェア

メリノウール100%×藍 天然素材と天然染料で作られた 極上のデイリーウェア

ファッション業界から藍染めの世界へ

風にそよぐ藍色ののれん。その奥には太陽の光がたっぷり差し込む明るい空間が広がります。

ここで迎えてくれるのは、藍染めのエプロンをまとった根本ちとせさん、弘之さんご夫婦。
ちとせさんが生まれ育った家をリノベーションし、藍染め工房として「STUDIO N2」を開いたのが2019年のこと。

▲代表の根本ちとせさんと弘之さん。鳴門市の住宅街の中に構える「STUDIO N2」の工房にて。
▲元の梁はそのままに古めかしさと新しさが調和する空間。奥に並ぶ大がめに藍染めを行う染料液が入っています。

ちとせさんはファッションの世界に身をおいて35年。イタリアで13年もの間、服のデザインや品質管理に携わっていたほか、東京のアパレルメーカーや大手紳士服の小売企業に勤めるなどしてキャリアを重ねてきました。

その後、転機が訪れたのは2017年。
「イタリアから日本に戻った後は、広島県福山市でレディーススーツの企画をしていました。地方の企業に勤めるのは初めてで、同僚は地元の人が多かったんです。周りを見ていると、生まれた町で働いて、町内会に入ったり納税したり、故郷の役に立つっていいなと思うようになりました。

そんなときに、徳島県美馬市の地域おこし協力隊の募集を見つけたんです。主な仕事内容は藍染め工房で働くことでした。自分が持っている生地や繊維の知識を生かして、これからでも地域貢献できることは“藍染め”だと思い、応募しました」。

そして、地域おこし協力隊に着任。任期の3年間、「美馬市観光交流センター」の藍染工房の運営業務を行いながら、手探りで藍染めにチャレンジする日々を過ごしたと言います。

▲ファッション業界で培ってきたキャリアを武器に、54歳で藍染めの世界へと飛びこんだちとせさん。

一方、夫の弘之さんも長年ファッションの仕事に向きあってきた人物。ちとせさんの進路転換に驚きつつも、快く応援したそうです。

「藍染めをするのなら、“メリノウール”を染めてみたいという気持ちが湧いてきました」。「メリノウール」とは、オーストラリアやニュージーランドなどで育てられている「メリノ種」と呼ばれる羊の毛のこと。ウールのなかでも最高級といわれ、上質なニットやドレスによく使われています。

「僕はずっとスポーツウェアを手がけてきたんですが、業界でメリノウールのインナーが注目されていたんです。メリノウールは汗を吸収し発散する力に長けていて通気性もいい。自然素材でありながら機能性が高いんです。その生地を天然染料の藍で染めたらおもしろいんじゃないかと思って。藍は防臭・抗菌効果もありますし、試してみたくなりました」。

▲服のパターン製作から縫製まで、広く手がける弘之さん。
▲マスクやキャップなどの小物は弘之さんがミシンで縫っています。

伝統的な“正藍染め(しょうあいぞめ)”でウールを染める

ちとせさんの地域おこし協力隊の任期中、弘之さんは大阪にいました。
「大阪でスポーツウェア用の素材開発やデザインの仕事をしている間、徳島にいる妻から『染料液の管理や染色の独学には限界がある』と何度か連絡がありました。そのため僕が先に染料液作りや管理の方法、染め方の基本を学ぶことにしたんです。

徳島の先生や栃木の先生の下で『藍建て』と呼ばれる染料液作りを勉強しました。京都の先生をお尋ねしたこともあります。その中で若輩ながら試行錯誤し、やりたかったウール染めや日常使いの藍染め商品に向いていると思われる現在の方法にたどり着きました」。

▲透明感があり、きらめく藍の染料液。微生物の力に任せてじっくり発酵させます。

「STUDIO N2」は、すくもと灰汁だけで染料液を仕込む「藍建て」と、染め、洗い、天日乾燥を一工程とし、それ繰り返すことで藍を重ねて行く「正藍染め」と呼ばれる方法で商品を作っています。

藍建てには10日から2週間ほどかかり、すくもの中に生きる微生物の様子を感じながら、じっくりと慎重に行うため、時にはそれ以上を要することもあります。出来上がった染料液は、貝殻を原料とする貝灰と小麦の籾殻のフスマで調整しながら使い続けます。

▲(左から)ふすま(小麦のもみ殻)、貝灰、灰汁、すくも。藍建てに使うのはこの4つだけ。すべて天然の原料です。

“藍が藍を呼ぶ”感覚

また、染色も藍建てと変わらないくらい根気のいる仕事。「一度染めるたびに洗って天日で乾かして……。繊細なメリノウールの製品では、この工程を1商品につき十数回繰り返します。染めた後に洗いと天日乾燥の工程を入れることで生地の表面に付着している余分な残留染料が減り、色落ちしにくくなります」とちとせさん。

「藍を重ねていく感じですね。藍染めの世界で“藍が藍を呼ぶ”と言われるゆえんです」と弘之さんが続けます。手間ひまをかけているからこそ、美しい藍色に仕上がるのです。

▲ゆっくりと藍の染料液につけこんで丁寧に染めていきます。「せっかく出来た色だから」と工夫して使いきります。また、藍染め体験も受け付けています(要予約)。
▲工房の前には染色濃度のさまざまな「青」が並びます。

「天然素材」×「藍染め」がもたらす価値

工房ができる前から構想を練っていたメリノウール素材の藍染めウェアは、アウトドアやスポーツ時のインナーに重宝する長袖の“アンダーウェア”として商品第1号に。「NARUTO AZZURRO Men’s extra fine merino base layer(ナルト アズーロ メンズエクストラファインメリノベースレイヤー)」と名づけられました。

メリノウール特有の汗をかいてもすぐ乾く、優れた吸湿速乾性。そこに藍の防臭効果を加えた、ハイスペックな天然素材100%の服です。名前にこそ“Men’s”と入っているものの、シンプルなデザインなのでユニセックスで使えます。また、カップルや家族でシェアするのもあり。サイズ展開も豊富でS、M、L、XLから選べます。

▲「STUDIO N2」が「NARUTO AZZURRO(ナルト アズーロ)」のブランドで提案するメリノウールの藍染めアンダーウェア「Men’s extra fine merino base layer」。真夏以外の3シーズン愛用できます。 

商品を企画した弘之さんいわく、「スポーツウェアほどピタッとタイトにせず、ふだん使いができるようにゆとりを持たせて、楽に着られるようにしました。肌ざわりをよくするために、縫い目に凹凸のないフラットシーマ縫製にしています。この縫い方ができるミシンを持っている縫製会社さんって少ないんですが、実は徳島で見つけて。そこにお願いして縫ってもらっています」。
なるほど、生地の厚みもちょうどよく、インナーに限らず、長袖のTシャツ感覚で使えそうです。

「完成当初、サイクリストと山岳ガイドの知り合いにモニターになってもらい、消臭機能や着心地をテストしました。その結果、『乾きが速くて熱を保ってくれるから汗冷えしないし、長時間着ていても汗の臭いがしない』と言ってもらえて安心しました。スポーツウェアやアウトドアウェアは機能性を重視して化学繊維製のものが多いのですが、メリノウールで同じパフォーマンスができるんです」。

特別ではなく日常にあるもの

「うちで作る商品は、型紙の製作から、手染め、仕上げのプレスまで2人でやっているので量産はできないんですが、質のいいものをずっと作り続けていきたいですね。また藍染めのウエアは1着ずつしか出来ませんので、必要とする人に必要な分だけ届けられるようになります。

余分なものを作らない生産方法は、これからとても大事なことになると思います。飾って見る藍染めではなくて、日常で使うプロダクトとして、生活の中に自然と藍があるように、もの作りをしていければと思っています」。
ちとせさんの言葉に弘之さんは優しくうなずきます。

▲商品サンプルがズラリ。生地の種類、サイズ、色合いを直接確認してからオーダー可能。藍染めは好みの色の濃さをリクエストできます。

ファッション業界で得た経験と知識を「藍染め」と掛け合わせ、肌をいたわる素材で高機能なアンダーウェアを生みだした根本さんご夫婦。

今後は、「soumei(ソウメイ)」というオリジナルブランドで、シャツブラウスやストールなどレディース向けのアイテムを製作予定。
ちなみに、「soumei」は漢字にすると「蒼鳴」。瀬戸内海と太平洋が交わる鳴門の海の色をイメージしているのだそう。
これからもお二人の感性で“ファッション×藍”の可能性を追い続けます。

▲のれんには2人が掲げたブランド名が。スポーツアイテムやアンダーウェアを展開する「NARUTO AZZURRO」はイタリア語で「鳴門の青」という意味。

STUDIO N2
徳島県鳴門市小桑島日向谷80
https://www.entwo.com/
 


STUDIO N2の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

メンズエクストラファインメリノベースレイヤー
上質な天然素材であるメリノウールで作られたアンダーウェア。藍の染料は化学物資をいっさい使用しておらず、あなたにとって最高のパフォーマンスを与えてくれます。