目次 鉄板の差し入れ いい香りのするジェラート 「食べられるモノはすべてジェラートにします」 素材のポテンシャルを引き出す甘さの微調整 現地…
新感覚! 徳島発アクセサリー
「うわっ、軽い!」
予想を上回る軽さに思わず口をついて出たほど。加えて、深みのある濃紺の玉は見る角度や光の当たり方で緑や紫がかったり……。今まで触れてきたものとはひと味違う、不思議なネックレスを手にして驚いていると、 「木ってわからないでしょ? とんぼ玉とよく間違えられるんです」と教えてくれたのは、「オザキ工芸」の尾崎修一さん。

尾崎さんがつくっているのは、木を藍染めした“藍染木玉(あいぞめきだま)”。徳島ならではの自然素材(木と藍)を掛け合わせた、いわゆるサスティナブル(持続可能)なアクセサリーです。SDGsに対する意識が今ほど高まっていない頃から手がけ、じわじわと人気が高まっています。

つけていることを忘れる軽さ!
その魅力は特有の美しさに加えて、なんといっても圧倒的な軽さ!
例えば、約1.2㎝玉の藍染木玉が42玉ほど連なるネックレスでも25g前後。これは10円玉5枚ほどの重さです。約1㎝玉のイヤリングも3gほど。これはなんと1円玉3枚分! ……1円玉、10円玉に“重さ”なんて感じたことありませんよね?
一般的に重さを感じないと言われている10gにも満たないアクセサリーがほとんど。まさに、どれもストレスゼロなつけ心地です。


オザキ工芸の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。
藍染木玉ネックレス


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藍染木玉ネックレス 凛
ネックレスの重みで肩凝りになったり、イヤリングやピアスをつけて耳が痛くなったりした経験がある方も少なくないはず。これなら体に負担をかけずに、快適にオシャレを楽しむことができます。

「おかげさまで全国から注文をいただいています。『デザインも軽さも気に入った!』『こういうのを探していたんです』などの声をいただけると、本当にうれしいですね。木をただ藍染めしただけだと、紫外線などによってどうしても色が褪せてしまうのですが、このアクセサリーはしっかりコーティングをしているので長持ちするんです。気軽につけてもらえたら」と、尾崎さん。


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藍染木玉イヤリング(1.0cm玉)


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藍染木玉イヤリング(1.0cm玉)金古美
“阿波の名工”に選ばれた職人
尾崎さんは木工職人だった父親の元、23歳から同じ道に入りました。徳島は古くから木工業の盛んな地。16世紀に徳島藩主・蜂須賀家が集めた約200人の船大工が内職として船の残材を使って炭箱やちり取りなどの生活用品を作り始めたのがルーツだといわれています。江戸から明治時代にかけて積み上げられてきた高度な技術はやがて木工業へと発展、1990年頃までは仏壇や鏡台、タンスなどの家具や建具の産地として名を馳せました。しかし、その後は生活様式の変化や安い輸入家具の台頭などにより徐々に衰退し始めます。

徳島の木工業を取り巻く環境が急激に変化していく過渡期に、尾崎さんは鏡台から座卓や花台、テーブル、タンスまでひと通りの家具をつくってきました。 「昔は周りに木工職人も多かったんやけどなあ……」と、少し寂しそうに話す尾崎さんは、木に携わって今年で39年目。昨年(2024年)には“阿波の名工”(卓越した技能者に贈られる県知事表彰)に選ばれました。
培ってきた木工の腕を生かす道
家具をつくっていた尾崎さんに転機が訪れたのは50歳のころ。体調を崩し、重労働を伴う家具づくりを続けることは難しいと感じていた矢先のことでした。おもに徳島市の地場産業の職人を中心とした組合、「クリエイティブ徳島協同組合」が立ち上がることとなり、理事長就任の打診があったのです。
2014年、この組合の理事長に就任したことをきっかけに百貨店の催事を企画したり、地元の高校のものづくりの指導に関わったりと、地場産業の活性化や徳島のものづくりを継承、普及させる活動に取り組むようになりました。

「家具のような大きなものをつくり続けるのは体力的にもう無理。でも、木で何かをつくりたいなとぼんやり考えていたんですが、アクセサリー職人、藍染め職人など、違う業界の組合員と知り合ったことで世界が広がりましたね」
自身のルーツである木、そして国内外で注目を浴びている藍染め。尾崎さんはふたつを合わせて徳島ならではのアクセサリーをつくってみたいと思い立ちます。組合員のアドバイスを受けたり、試作を重ねたりしながら3年ほど月日を重ねて、2017年に藍染木玉のネックレスが誕生しました。

“藍染木玉”ができあがるまで
素材はおもにミズ木。昔から建築材や東北地方のこけしなどの木工品などに使用されている天然木です。

丸く削られた木の玉を研磨して形を整えたら、天然由来の原料(県産のタデ藍から作った染料「すくも」、木灰、石灰、日本酒など)のみを使用した、伝統的製法「天然灰汁発酵建て」で仕込んだ藍染めの染色液に入れて木玉を染めます。
「藍染めは『クリエイティブ協同組合』の組合員のところで行っています。仲間うちで仕事を回すことで建設的な関係を築き、いい循環が生まれたらいいなと思って」
藍染めは1回5分を目安に3、4回ほど染色液に浸けます。木玉の乾燥具合や、染色液の状態、さらには季節によっても染まり具合が変わるため、苦労することも多いのだとか。 「コーティングをすると色が変わってくるので、それを見越して染め具合を見極めています。しかも、染色液自体が微生物の働きによって日々発酵をしている生き物だから毎回同じ色には染まりません。大変だけれど、それも天然だからこそ。木と同じで奥が深い世界ですよ」


藍色に染まった木玉は、仕上げの工程へ。1つ1つ手作業で硬質エコウレタン塗布を行います。乾燥させたら研磨をして……と、下塗りから中塗り、上塗りまでこの工程を数十回繰り返します。これはなんとも手がかかる地味な作業。その終わりの見極めを問うと、 「う~ん、自分が納得いくまでかな」と笑う尾崎さん。



技術を持つ木工職人にしかできない、この仕上げの工程を経て、木玉の深い藍色はキープされ、キズや汚れ、水にも強くなります。さらに、唯一無二の美しい光沢が生まれるというわけなのです。
これもあれも木で?! 魅力の詰まったお店
アクセサリーに限らず、尾崎さんの手から生まれた木工品を見てみたいという方は、徳島駅から車で西へ30分程度走ったところにある実店舗「オザキ工芸/森のくまさん」へ。藍染木玉のアクセサリーを始め、県産杉を藍染めしたペンダント、杉や栃、黒柿などの希少な銘木でつくった器、カントリー調の愛らしい木製雑貨、さらには家具に至るまで、店内は木工品一色! お客さんからの要望でアクセサリーの種類も藍染めのアイテムも少しずつ増えているのだそう。


「徳島の木工と藍染めを全国へ、できれば海外まで広めたいんです。仲間たちの素晴らしい手仕事も一緒に。どうしたらもっと広く、たくさんの人に知ってもらえるのだろうかを模索することも私の使命だと思っています。やらなければいけないこともやりたいこともまだまだたくさんあって……なんだか忙しいですねえ(笑)」
職人魂と地元愛に溢れる尾崎さんですが、醸し出す雰囲気は終始、穏やか。そんな親しみやすく、実直な人柄が生み出すものにも表れています。心地よく身につけられて、長く愛用できる藍染木玉のアクセサリー。人を選ばず、日常にも特別なシーンにもさりげなく馴染む、サスティナブルなオシャレの提案です。
オザキ工芸/森のくまさん
徳島県名西郡石井町石井字白鳥216-3
tel.088-675-1320
https://morinokumasan.com/

オザキ工芸の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。
徳島伝統の本藍染で染めた木玉を木塗装技術で仕上げた軽くて、負担の少ないネックレスです。木製なのでとても軽く、1日中着けていても負担になりません。