素材もお菓子も“鮮度”で勝負!
国産素材の自然派バームクーヘン

素材もお菓子も“鮮度”で勝負! 国産素材の自然派バームクーヘン

県内屈指のスイーツの名店

徳島県の北東部に位置し、徳島市や鳴門市のベッドタウンとして人気の高い北島町。町の中心部を車で走っていると、緑の映える広い庭と大きな窓を設えた白い建物に目を奪われます。

そこは「パティスリー オゥ・ポワヴル」。地元ではもちろんのこと、「北島に行くなら寄って帰る」などの遠方からのお客さんも多い人気の洋菓子店です。1999年2月に創業、今年で26年目を迎えました。

▲県産杉を用いた木造の店舗は明るく温かい雰囲気。

店の代名詞、バウムクーヘン

四季折々のケーキ、プリン、焼き菓子など、「オゥ・ポワヴル」ファンの“推し”はさまざまですが、幅広い世代に広く長く愛されている看板商品が「バウムクーヘン」です。自宅用に、また手土産に、2つ3つと手に取るお客さんも。

▲入口入ってすぐのところに並ぶ、一番人気の「バウムクーヘン」。

「2010年に前店舗からこちらに移転するときに何か目玉になる商品を、と考えてつくり出したのが『バウムクーヘン』です。ドイツ発祥のバウムクーヘンは本来かたい生地ですが、当時、県外の洋菓子店でしっとりとしたやわらかな食感のバウムクーヘンに人気が出始めていました。このソフトタイプは好きな人が多そう、定番になりそうだなと思い、試作や準備を始めて移転と同時に新商品として出しました。……振り返ってみると、移転記念スイーツということになりますね(笑)」と、にこやかに話してくれたのは代表取締役の森保介(もりやすすけ)さん。

▲パティシエ・代表取締役の森保介さん。

徳島や高知の特選素材と香りに自信あり

今でこそ見かけることの多くなったソフトタイプのバウムクーヘンですが、15年以上も前から手がけていた「オゥ・ポワヴル」はいわば、先駆け的存在。

「バウムクーヘンはシンプルな生地を食べてもらうもの。だからこそ、とくに素材と香りを大事にしています」

選び抜いた素材は北海道小麦に、同じ県北部に位置する上板町の老舗「岡田製糖所」の阿波和三盆糖、そして高知県黒潮町の天日塩。

これらの特選素材を配合してつくり上げたなめらかな生地は焼き上がるまでにおよそ45分。熟練のパティシエが五感をフル回転させながら火加減を調整しつつ、生地を重ねていきます。バウムクーヘン専用のオーブンにつきっきりで慎重に作業を続け、やがて自慢のバウムクーヘンが美しく焼き上がるのです。

▲状態を見極めながら一層一層丁寧に生地を重ねていきます。

焼き上げた後は、専用のラックへ。重力により形が崩れやすいので適度に回転させながらゆっくりと冷まします。翌日に仕上げのコーティングをほどこしてカットしたら完成です。

▲「今日もうまく焼けました」と笑顔のスタッフ。

おいしさを決めるもうひとつの要素として大切している“香り”。じつは店舗そのものに、そのこだわりは表現されています。

「駐車場から店内に向かうアプローチに面したところにバウムクーヘンや焼き菓子のオープンキッチンを配置しました。しかも、通常は裏手に回す排気口をあえて表に出しています。まずはバウムクーヘンを焼いているいい香りでお客様をお迎えしたいと思ったので。店内に繋がっている排気口もあります。香ばしく甘い香りに喜んでくれるお客さんの顔を見たらうれしいですね」

▲オープンキッチンは外の様子がわかるのでスタッフ側の気分転換にもなっているそう。

お菓子のおいしさは鮮度で決まる

素材選びや香りに加えて、“鮮度”に対するこだわりも相当なもの。

「生菓子のケーキだけではなく、焼き菓子も鮮度が命です。店内で販売する期間はフィナンシェなどの短いものだと4日間。例えば、月曜日に焼いたものは木曜日までしか並べないということです。その分商品管理が大変なんですが、香りやおいしさの違いがわかってしまうので……」

一部「脱酸素剤」を入れているお菓子もありますが、それでも長くて賞味期限は2週間なのだそう。これはできそうでなかなか真似できない、おいしさに対する覚悟のような、「オゥ・ポワヴル」ならではのプライドではないでしょうか。

▲バウムクーヘンにも「お菓子は鮮度が大切です」と記されたカードが。

「保存料、人工香料、人工着色料も使用していません。それゆえに大量生産はできませんが、少量ずつ手作りする、新鮮でおいしいお菓子を提供することが開店当初からのこだわりです。残ったケーキも翌日には出しません。あらゆる葛藤はずっとありますが……そこは私の職人的なこだわりですね」

できるだけ近いところの素材を使う

鮮度に対するストイックで真摯な姿勢はすべての素材にも向けられています。

「20代の頃、洋菓子店『アンリ・シャルパンティエ』(全国区の大手洋菓子店)で商品開発などをしていました。仕事をする中で素材の大事さが段々とわかってきたのですが、日々の忙しさに素材を探したり向き合ったりすることになかなか時間を割けませんでした。やがて独立に向けて会社を辞めたタイミングで渡仏したとき、いい素材を自ら仕入れて加工し、お菓子に仕立てているパティスリーを訪れました。そんな店を見て、こういう仕事こそ本当においしいものが生まれる場所であり、自分の店もそうありたいと改めて思うようになったんです」

▲「おいしさのためにまだまだやれることはあります」と森さん。

“できるだけ安心安全で自然な素材を。できるだけ国産を。できるだけ近いところのものを使う”をポリシーに、フルーツや野菜なども基本的に生産者から直接仕入れています。

「いちごは山川町(県内中央部、吉野川市にある町)の『えいじくんのイチゴ園』の女峰という品種です。2011年に当時大学院生だったえいじくんが飛び込み営業で来てからの付き合いです。ルバーブは北海道の生産者さん。ネーブルオレンジは広島の生口島の農家さんから。国産のオレンジでコンフィチュール(ジャム)を作りたいと思っていたのでありがたいご縁でした。コンフィチュールもすべて生産者さんから直接仕入れた安心できる素材だけでつくっています。個人的にもお気に入りなのでよく買っています(笑)」

▲旬の素材で少量生産するコンフィチュールはスタッフ人気も高い。

また、昨年(2024年)には25周年記念企画として初めて<オーガニックマルシェ>を開催。

「取引のある生産者さんと消費者さんが直接繋がったらいいなあと思って。好評で今年2月に第3回目を終えました。これからも定期的に開催したいですし、日本各地を訪れて新しい生産者の方と出会っておいしい商品を考えて……をまだまだ積み重ねていきたいですね」

▲今年2月の第3回オーガニックマルシェの様子。(画像提供:オゥ・ポワヴル)
▲高知県へ天日塩づくりの現場をスタッフと訪問。(画像提供:オゥ・ポワヴル)

香りと鮮度に包み込まれる店

広い店内を見て回れば、“鮮度重視”のラインナップが光ります。つくりたてのケーキ20~30種類に、フレッシュな焼き菓子たち。最高においしい状態を味わってもらいたい!との思いから1日2回(11時/13時)、「焼きたてフィナンシェ」も登場。なんともいえないいい香りが店内に充満します。

バームクーヘンの端が「ひとくちバウム」や「バウムラスク」になったり、スポンジの切れ端がクッキーになったりと、おいしさを無駄にしない工夫も随所に見つけることができます。

▲ケーキは切れ端などのロスが出にくいようにホールで焼いてカットするタイプのものが多い。
▲「焼きたてフィナンシェ」は店舗ならではのお楽しみ。

「オゥ・ポワヴルっておいしいよね」と地元で愛され続ける理由はそこここに。
まずは王道のバウムクーヘンからいかがでしょうか。笑顔と幸せを運んでくれる極上スイーツです。


パティスリー オゥ・ポワヴル
板野郡北島町江尻字旭光3
tel.088-698-4566
http://www.au-poivre.jp



パティスリー オゥ・ポワヴルの商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

バウムクーヘン

徳島の大地の恵みをいっぱい含んだ阿讃山脈南麓・上板町産の「竹糖」を原料とする「阿波和三盆糖」を使っています。 優しく、自然な風味を是非、ご堪能下さい。