冷凍ワザで閉じ込めた旬食感!
“食塩無添加”の新星・鳴門わかめ

冷凍ワザで閉じ込めた旬食感! “食塩無添加”の新星・鳴門わかめ

鳴門に春の訪れを知らせる海の幸

白い湯気が立ちこめる、とある冬の日。カッパに身を包んだ男性たちの威勢のいい声が響き渡ります。

▲わかめの水揚げが始まる1月頃から慌ただしく稼働するボイル工場。

ここは、徳島県鳴門市にある「うずしお食品」のボイル工場。

1977年に創業し、「鳴門わかめ」の養殖と加工販売を手がける老舗です。鳴門海峡の激流で育ったわかめは、肉厚で歯ごたえもよく、全国的に有名です。

現場を仕切る専務の後藤弘樹さんは、商品開発から、生産、加工、販売までエネルギッシュにこなす頼れる二代目です。

▲専務の後藤弘樹さんと奥様の敦子さん。

さかのぼること5時間前の午前9時。後藤さんは生産部のスタッフとともに海の上にいました。海面にいくつも並ぶ浮き玉が養殖場の目印。11月下旬、浮き玉の間に等間隔でわかめの種つきのロープを張ると、およそ1か月半で2メートルほどに成長したわかめが根づきます。

そして、冬の寒さが厳しさを増す1月から春めいてくる4月上旬までがわかめの収穫シーズン。この期間は刈り取りから一日の仕事が始まるのです。

▲養殖わかめ用のいくつもの浮き玉がぷかぷかと浮かぶ光景は鳴門海峡の冬の風物詩。
▲刈り取りはすべて手作業。根本から1本ずつ包丁や鎌を使ってカットしていきます。根からさまざまな方向に伸びるわかめはまるで巨大なタコの足のよう。

3歳の頃には“沖デビュー”していたという後藤さん。以来45年近く、現場に立っているからこそ、わかめを見極められる目が備わっています。「いいわかめは黒光りしてツヤがあるからね。葉に縦ジワが入ってるわかめはよく育って肉厚な証拠」。

▲とれたての鳴門わかめ。「食べやすい葉の厚みとほどよい弾力が魅力」と後藤さん。

こうして水揚げされたわかめは先ほどのボイル工場へ運ばれます。地元の漁師から仕入れたものと合わせ、多い日で1日20トンが加工されます。

ボイルは特注の巨大な加工機によって一気に行います。まずは釜のお湯の中にわかめを投入。かき混ぜながらむらがないようボイルします。わかめは水流に乗っている間に茹であがり、鮮やかな緑色へと変化。水で冷却した後、商品ごとに加工が分かれます。

▲85~87度のお湯でボイル。わかめの育った場所や葉肉の厚みに合わせてゆで時間を変えています。

ありそうでなかった“冷凍の”鳴門わかめ

わかめといえば、塩漬けにした塩蔵わかめや、乾燥わかめが一般的ですが、「うずしお食品」では創業以来手がけている定番の塩蔵わかめに加え、2017年から「冷凍わかめ」の製造をスタートさせました。

鳴門わかめとしては初となる「冷凍わかめ」の商品化に成功。

▲生わかめは傷みやすいため、昔から塩漬けや乾燥など長期保存のための加工がされてきました。

「10年(2011年)ほど前から調味料を含め、世の中が減塩志向になってきたんです。それに若い世代は塩抜きが必要な塩蔵わかめの戻し方が分からない人も増えてきて……。ニーズに応えられないかと考えているうちに、冷凍なら食塩を使わなくてもとれたての新鮮な味わいをキープできるかもしれないと思い立ち、わかめに特化した冷凍加工の技術を開発したいと思ったんです」。この頃から後藤さんの「冷凍わかめ」への挑戦が始まります。

▲10年かけて「冷凍わかめ」の開発に成功。

 「当初、15キロのわかめを試しに冷凍してみたら、色は真っ赤になるし、解凍するのに3日かかって。1キロまで減らしても、なかなかうまくいかないんですね」。課題は、解凍のしやすい冷凍加減。試行錯誤を繰り返すうちに5年が過ぎていたといいます。

「諦めようかと思っていたとき、試作中の冷凍わかめをある方法で保管していたら、求めていた食感に解凍できたんです。冷凍方法だけじゃなくて、冷凍させた後の保管方法も重要なポイントなんだと分かって。企業秘密なんで詳しいことは言えないですが……」と、後藤さんは思いがけず、「冷凍わかめ」が完成した日のことを振り返ります。

▲乱気流で急速冷凍させる特殊な冷凍機を使用。わかめのとれたての食感を損なわず新鮮な状態でキープできます。

いつでも“とれたての味”を

こうして、2017年に「うずしお食品」の冷凍技術の集大成である「潮里(しおり)わかめ」が誕生しました。海から揚げられてすぐに湯通しされ、急速冷凍させただけのシンプルなもの。塩分無添加だから体に優しい商品です。

もちろん、塩抜きする手間もかからず、水に軽く通すだけでとれたてわかめの弾力、風味が蘇ります。「『潮里わかめ』は塩を揉みこまないのでわかめの表面に傷がつかず、余計な水分が入りにくくなります。だから、解凍しても生わかめのコシがしっかり残るというわけです」。

サラダや和え物、味噌汁とさまざまな料理に使えますが、やっぱりまずは、ぜひそのままで。鳴門わかめ本来のシャキシャキとした食感を存分に味わうことができて感動モノ。

▲冷凍とは思えない食感の「潮里わかめ」。一年を通して旬の味が堪能できます。
▲ほかにもオリジナル商品作りに積極的に取り組んでいます。取材時は乾燥させた塩蔵わかめをパウダー状に加工した商品を開発中。

自らの手でわかめを育て、加工技術を磨き、そして日本の百貨店や世界のバイヤーのもとへ商談に出かける後藤さん。「今はフランスの企業ともやりとりをしています。わかめになじみのない外国の方がどう調理するかも気になるところです。その料理を逆輸入して、若い人にももっとわかめを食べてもらいたい。新しい発想でわかめの魅力を引きだしていきたいですね」。

オールラウンダーの後藤さんが放つ言葉はわかめへの情熱にあふれています。

▲鳴門から海を越えて世界へ。わかめの魅力をまだまだ発信していきます。

うずしお食品
徳島県鳴門市里浦町里浦字花面350-32
https://uzushioshokuhin.co.jp/
 


うずしお食品の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

潮里わかめ(冷凍わかめ) 6個入セット
塩蔵や乾燥わかめでは味わえない風味と食感。解凍するだけで簡単に味わえる鳴門の生わかめ本来の美味しさをぜひお楽しみください。