みんなのおやつ、懐かしい味
冷凍の「とくれんゼリー」

みんなのおやつ、懐かしい味 冷凍の「とくれんゼリー」


給食のデザートは徳島生まれ

手のひらサイズのこぶりな紙カップ。触れると冷たくて、フィルムをはがすと、太陽をすくったような輝く橙色。このビジュアルを見て、なつかしい気持ちになる人も多いかもしれません。食べると、もっと懐かしい。シャリッと、ぷるぷる……紙スプーンでいただく“半シャリ”食感の冷凍ゼリー。子どもの頃に味わった学校給食の記憶がふわりとよみがえります。

兵庫県神戸市を中心に関西圏の給食で親しまれている冷凍みかんゼリー、通称「とくれん」。その味を支えているのが、徳島県の南部・阿南市新野(あらたの)町にある「浅井缶詰」です。

2つ並ぶとくれんゼリー
紙スプーンでゼリーをひとすくい
▲正式名称は「プデナーオレンジ80」。

四代目社長・田中明德(あきのり)さんによると、「とくれん」の誕生は1974年。近隣にあるみかんの産地・勝浦町に設立された「徳島県加工農業協同組合連合会(徳連)」で、みかんの加工品として生まれました。

「それまでの給食のデザートといえば寒天がほとんどだったので、カップに入ったゼリーは珍しかったと聞いています。2000年頃に徳連が解散することになり、私たちが製造を引き継ぎました。そんな経緯で、“とくれん”という略称が商品の愛称になっているというわけです」

田中明德(あきのり)さん
▲「とくれん」の歴史を語る田中さん。「当時たくさん収穫されていた県産みかんを余らせないために果汁を使った加工品製造が始まったようです」
「徳島加工連」と書かれた浅いコンテナいっぱいのゼリー
▲生産現場では徳連から引き継いだアイテムが今も使われています。

“凍らせてこそ”の魅力

おいしさの秘密は、リッチな果汁。国産温州みかん果汁を80%も使い、みかん本来のフレッシュ感を大切にしています。

「常温で保存可能なゼリーにした場合、加熱して二次殺菌を行うため、せっかくのみかんらしい味わいや香りが損なわれてしまいます。でも、『とくれん』の場合は凍らせて届ける製法です。冷凍することで品質を保ち、余分な加熱に頼らず製造しています。加熱によるダメージを最小限に抑えることができるため、みかんそのものを食べているかのような味わいに仕上げています」

おすすめの食べ方は、給食のときに食べたような、”半シャリ”状態。冷凍庫から出してもすぐに手をつけないことがポイントです。室温で20~30分置くか、電子レンジ600Wで20~30秒ほど温め、紙スプーンでもすくえる柔らかさでいただくのがベスト。最初はシャーベットのような口あたり、食べすすめていくとプルンとしたジューシーなゼリー食感に変化していきます。あとをひくおいしさはもう1つ食べたくなるほど。

カップいっぱいに果汁を注いでいるところ。
▲カップいっぱいに果汁を注いでいるところ。フル稼働の日は5万個のゼリーが作られています。

手仕事の技が息づく加工現場

「浅井缶詰」の工場は弘法大師ゆかりの四国八十八ヶ所霊場第二十ニ番札所・平等寺のほど近く、桑野川沿いにあります。古くからたけのこの産地である阿南市は、豊富な山の恵みをより多くの人の手に渡らせるために、食品加工の技術が進みました。大正10年に創業した「浅井缶詰」もたけのこの水煮から食品加工をスタートさせました。時代に合わせて取り扱う商品を変えながら、現在は徳島県産の「なると金時」や茨城県産の「紅はるか」をはじめとするさつまいも、国産の梅や金柑を中心に50品目以上もの食品加工を行っています。

畑側から見た浅井缶詰の工場
桑野川を挟んで見た浅井缶詰の工場
▲桑野川を挟んで平等寺と向かい合うように建つ「浅井缶詰」の工場。

ここで製造される加工品は全国のベーカリーや製菓店に届けられます。パンや和菓子、洋菓子の素材やデコレーション用として利用されています。求められるのは、見た目の美しさや、用途に合わせた適切な食感。パンやお菓子は職人の技が光る世界でもあります。一つひとつの食材に対して、取引先から繊細な感覚で評価されます。

「梅や金柑の種抜きはすべて手作業で、種をくり抜いた後でも形が美しいものだけを選別しています。サツマイモの根の除去や皮むきも手作業です。農産物は同じ形のものがないので細かい作業は人の手でしないと機械では難しいですね。それと、加工においても取引先のオーダーに合わせた食感にするために火入れの具合は常に気を張っています。たとえば、梅のシロップ漬けの場合、ゼリーに使うのか、大福に使うのかで炊く時間が変わります。二次殺菌で加熱することも考えて硬さを見極め、その都度スタッフが味見して食感を確かめています」

梅のヘタを手作業で取り除いているところ
▲人の目で一粒ずつ確認しています。
金柑を一気に炊きあげているところ
▲300キロもの金柑を一気に炊きあげているところ。

こういった丁寧な仕事の積み重ねが取引先からの厚い信頼につながっています。たとえば、人気野球選手の手土産として話題になったスイートポテトのお菓子。「浅井缶詰」の鳴門金時ペーストが使われているそうです。

ダイスカットされたさつまいも
▲さつまいものダイスカットは角がシャープだと評判。炊き加減を見極める職人技のたまもの。

山と川に囲まれたこの土地で、長年磨かれてきた食品加工の技術。敷地を歩いていると3棟ある工場から、さつまいもにみかん、梅などの豊かな香りが漂ってきます。その現場では、創業時から女性を中心に地域の人々が支えてきました。現在は、ベトナムやインドネシアからやってきた若い力も加わり、新たな活気に満ちています。

浅井缶詰で働くみなさん
▲「浅井缶詰」で働くみなさん。多国籍なスタッフが活躍しています。

記憶をつむぐソウルフード

給食で味わった“おいしい!”は、心の中にずっと刻まれるもの。なかでも神戸っ子にとっては、ソウルフードとして根付いているようです。2022年には、Jリーグ・ヴィッセル神戸とのコラボグッズが誕生。なんと「とくれん」の絵柄が刺繍されたキャップとプリントTシャツがオリジナルグッズとして販売されるほどの愛されっぷりです。

「ゼリーを披露宴でゲストに出したいと相談を受けたこともあるし、徳島に出張に来られた神戸の方がここまで買いにきたこともあります」と田中さん。

給食体験はなくても、素朴で懐かしい味わいそのものに惹かれる人も多く、一年を通して注文が絶えません。また、リピート率の高さからもあらゆる人の、家庭の定番になっていることを伺い知ることもできます。「みなさんの思い出の味になれていたら嬉しいです」と田中さんは頬をゆるめます。

現在も、年間50万個もの「とくれん」が給食のお供として子どもたちのもとに渡っています。昭和から平成、令和と、半世紀にわたって愛され続ける、みかんゼリー。今日も誰かの思い出の1ページを彩っています。

浅井缶詰で作られている商品
▲ゼリー作りも食品加工も素材の持ち味を引きだす技術が欠かせません。

浅井缶詰株式会社
徳島県阿南市新野町馬場50-1
Tel.0884-36-3344



とくれん プデナーオレンジ80(12個入り)

浅井缶詰の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

とくれん プデナーオレンジ80(12個入り)

子どもの頃に学校給食で食べた記憶がよみがえる冷凍みかんゼリーです。国内産温州みかん果汁を80%使用。加熱によるダメージを最小限に抑えた製法で作っていますので、果汁リッチで濃厚、フレッシュ感のあるゼリーに仕上がっています。