「遊山箱」を現代風にアレンジ
上質な木工品に触れる、出会う

「遊山箱」を現代風にアレンジ 上質な木工品に触れる、出会う


アレンジの効いた遊山箱

「遊山箱(ゆさんばこ)」とは、徳島に古くから伝わる手提げの重箱。大正時代から戦後にかけて、野山へ遊びに行くときや雛まつりといった特別な行事のときに子どもたちがお弁当箱として愛用したといわれています。

伝統的な三段重ねのデザインを一新し、現代風にアレンジしたのが「空間創造」が手がける遊山箱です。「遊山箱 一段 チェリー」は深めのお重が一段のシンプルな造り。ステンレス製の持ち手は、繊細なレーザー加工が施され、アクセントになっています。

遊山箱 一段 チェリー
▲木目がなめらかで上品な印象の「遊山箱 一段 チェリー」。

伝統の木製品に挑戦

「空間創造」は2005年、徳島市にて木製品の製造会社として設立。徳島市のシンボルとして愛されている、眉山(びざん)のふもとに自社工場を構え、建物や空間、用途に合わせて作る造作家具や、オーダーメイドの店舗什器をメインに設計・製造しています。

会社のロゴが入った石
▲会社の周辺は鳥のさえずりや川のせせらぎが聞こえてくる自然豊かな場所。

「空間創造」が遊山箱のような小さな木製品を手がけるようになったきっかけは、2012年ごろに徳島商工会議所から受けた依頼でした。プロダクトデザイナーのデザインをもとに、遊山箱を製作することになったのです。

代表の宮瀬勝さんは当時を振り返ってこう話します。
「ずっと大きな機械を使って大きな商品をこしらえる仕事ばかりだったので、遊山箱を作るにあたり、小さな板をカットするところから一苦労でした。板が小さいと飛んでいったり、ズレたりと、失敗続きで……。これまでと違って、小さな商品づくりは一つ一つの作業を進めるのに時間も労力もかかりましたね」

自社工場
▲本社に併設する自社工場。大型家具を中心に小さな木工品まで手がけています。

より美しい仕上がりを目指して、仕上げの最終作業を行う塗装会社とも相談を重ねました。平面と小口では塗料の吸収度が変わるため、木材の端を45度にカットして接合する「留め加工」を採用。小口をすべて内側に隠すことで、色の濃淡が出ず、均一で美しい発色を実現しました。こうして試行錯誤を繰り返し、3~4カ月かけて最初の遊山箱が完成したのです。

創造する喜びとの再会

最初の遊山箱が完成したとき、宮瀬勝さんは今までにないクリエイティブな喜びを感じたといいます。
「造作家具は前もって用意された図面通りに作る仕事なので、自分で一から始める遊山箱づくりは、まったく違ったワクワク感なんですよね」

右から代表の宮瀬勝さんと、息子の宮瀬裕基さん
▲(右から)代表の宮瀬勝さんと、主に営業や製造を担う息子の宮瀬裕基さん。

徳島商工会議所の声かけをきっかけに、徳島に受け継がれる木工文化との縁を感じたことから、自社商品として遊山箱の製造を続けることに決めました。しかも、大型家具の製造時に残る端材も良質な材料。無駄にすることなく、木工品に生かしています。

現在では、約20種類のオリジナル遊山箱を展開。特に象徴的なのが、レーザー加工を施したステンレス製の組子柄の持ち手です。本業である造作家具の仕事がヒントになったそう。

「以前、東京で納骨堂の設置工事に携わり、収納棚の扉を1300枚ほど製作したことがありました。そのとき、13種類もの組子柄をレーザー加工で施したんです。その経験を生かして、遊山箱でも持ち手を組子柄に加工したら面白いんじゃないかと考えました」

ステンレス製の持ち手は組子柄
▲ステンレス製の持ち手はふたを開けると組子柄になっています。
遊山箱 一段 チェリー

空間創造の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。
遊山箱 一段 チェリー


木の温かみある重箱に、デザインの効いたステンレス製の持ち手が加わることで、グッと現代的な印象に生まれ変わっています。しかも、段数が少ない分、お弁当はもちろん、フルーツやお菓子も詰めやすく、気軽に持ち運びやすいのも特長。

「ただ飾るだけのオブジェにならない、日常で使われる遊山箱にしたい」という宮瀬勝さんのこだわりが表れています。

前述の納骨堂設置工事に携わったことや組子柄のレーザー加工は、もう一つの新製品のアイデアへとつながります。現代のライフスタイルに合わせた“メモリアルボックス”の開発です。

メモリアルボックスとは、遺族が自ら遺骨を管理し、供養する「手元供養」ができるように、骨壺を納められる設計にしたもの。細い木片を幾何学的な文様に組みつける組子を取り入れ、厳かな風合いに仕上げつつも、暮らしになじむデザインです。大切なペットのためのメモリアルボックスも評判を呼んでいます。

どちらも見た目の美しさのみならず、実用性も兼ね備えた逸品。家具づくりで培った技術や知恵が随所に息づいています。

ペットのメモリアルボックス
▲ペットのためのメモリアルボックス。
メモリアルボックスの前面扉
▲組子を用いたメモリアルボックスの前面扉。

伝統的な木工技術に触れられるキット

遊山箱同様に、リクエストをきっかけに作り始めたものがあります。それは、「組子キット」と「遊山箱キット」。

遊山箱キット(レトロタイプ)」と「組子キット」の完成品
▲二段の引き出しがついた「遊山箱キット(レトロタイプ)」と「組子キット」の完成品。自分好みに色付けもできます。

「宿泊施設を運営している方から外国人向けにワークショップが楽しめるよう簡単なキットを作ってくれないかというお話があったんです。最初にキットにしたのは、釘を使わずに形にできる組子。デザインは日本の伝統を感じられるよう“麻の葉”にしました。その後、木のパーツだけで完成する遊山箱キットを作りました」

工場の機械
機械で材料を製作中。
パーツとして加工されたもの
▲自社工場での遊山箱キットの制作現場。大型機械を用いて一つひとつのパーツを精度高く加工していきます。
遊山箱キット (レトロタイプ)

空間創造の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。
遊山箱キット (レトロタイプ)


夏休みの工作や思い出づくりにも

これらは子どもの夏休みの工作にもぴったり! 指先での細かな作業もありますが、小学生以上なら楽しく取り組めそうです。遊山箱キットは金づちを使用する工程もあるので、大人と一緒に取り組むことをおすすめします。

実際に手を動かして組子や遊山箱づくりに挑戦することで、木工職人の細やかな技術を知ることができます。

小学生の2人がキット作りに挑戦する様子
▲小学5年生の2人がキット作りに挑戦。説明書を見ながらじっくりと。
組子キットを組み立てる様子
▲細かいパーツを組み合わせて麻の葉模様を作る「組子キット」。
遊山箱キットを組み立てる様子
▲「遊山箱キット」では釘の代わりに小さな木の棒である「ダボ」を使って板を組み立てます。

「遊山箱を作るようになってから、新しいお客さまとの出会いが増えました」と頬をゆるませる宮瀬勝さん。オリジナル商品は自社や「ラシクルモール」のオンラインでの販売のほか、国内外の展示会に出品するなど、人の目に触れる機会を設けているそう。

「ひらめいては図面を引いて、作って、『これええなぁ!』とよく言っています」と、ガハハと笑う表情は少年のよう。もの作りの喜びを噛みしめながら、小さなプロダクトの制作に励んでいます。

商品を持った宮瀬親子

空間創造
徳島県徳島市八万町上長谷128
tel.088-668-6429
https://www.kukansouzou.com/



組子キット 麻の葉

空間創造の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

組子キット 麻の葉

組子は、木を釘を使わずに組み付ける日本の伝統木工技術。「組子キット」はそんな組子を手軽に誰でも作れるキットです。組子を作って、古くから伝わる専門知識や伝統技術を楽しく学びましょう。