シャキシャキの歯ごたえが魅力
美味しくて栄養価の高いレンコンづくり

シャキシャキの歯ごたえが魅力 美味しくて栄養価の高いレンコンづくり

実はレンコン名産地、徳島

大きな葉が太陽の光を受けてキラキラと輝く姿が美しく、緑一面の大地と青空とのコントラストが爽快なレンコン畑。初夏の期間限定で見られるこの風景は、徳島の風物詩のひとつ。なによりわずか数日しか見られない可憐な花も見どころです。

レンコンの産地と言えば茨城県が有名ですが、実は徳島県は全国的にも有数の名産地。徳島県北部の鳴門市や松茂町などで栽培が盛んで、このあたりを車で走ればあちらこちらでレンコン畑に出会えます。

▲ 松茂町にある一面のレンコン畑。
▲ 7月中旬頃に見頃を迎えるレンコンの花。開花するのは午前中だけなので、朝9時頃までの鑑賞がおすすめ。

同じレンコンと言えど、産地が違えば特徴も変わってきます。
水を張った畑でゆるい泥の中で育つ茨城県産は「ホクホク」とした食感に。一方、粘土質の土壌で育つ徳島県産は「シャキシャキ」とした歯応え。程よく圧がかかった土のおかげで、旨味もぎゅっと凝縮されているのも徳島県産ならではの特徴であり、魅力のひとつです。


何よりも「土づくり」にこだわる

食物繊維も豊富なうえ、抗酸化作用に優れたポリフェノールの一種タンニンや、ビタミンC、カリウム、カルシウムなど、実は栄養価にも優れています。

そんなレンコンの持つ栄養価に着目した「松茂青果」。
「美味しいことは当たり前。形や大きさだけを重視せずに、栄養がしっかり摂れるレンコンをつくりたい」と、松茂町でレンコンを中心に鳴門金時や大根などの農業を営んでいます。

▲ 松茂青果・代表の田村健一さん。祖父の代から3代にわたりレンコンづくりをしています。

より栄養価の高いレンコンをつくるため、一番のこだわりはなんと言っても「土づくり」だと話します。

海が近く、川に囲まれた松茂町は、海からの恵みを含んだ荒い砂の混ざった土と、吉野川下流の肥沃な土が合わさった、良質な粘土質の土壌。それに加え、松茂青果では有機肥料と化学肥料の両方をバランスよく取り入れた土づくりを行っています。

「土の状態は変わり続けるので、その都度、土壌診断をしてよりよい土の状態になるよう肥料の配合を変えています。ただ土に栄養を与えすぎるだけでもダメなんです。人間も肉だけじゃなく野菜や海藻などをバランスよく食べるのが健康的なように、土もバランスよく栄養を与えることが大事」。

毎年状況が変わる土壌改良への挑戦は、試行錯誤の繰り返しです。

そうして2017年頃、エコファーマーに認定。生産物の栄養価を競う「オーガニックエコフェスタ栄養価コンテスト(一般社団法人日本有機農業普及協会主催)」では「糖度、抗酸化力、ビタミンCのすべてにおいて平均値以上の評価を獲得」と、2017年から5年連続でレンコンの部の最優秀賞を受賞するほどに。


人は成長の手助けをするだけ

土づくりを大切にしている松茂青果にとって、手間暇惜しまず取り組む仕事があります。それは「草抜き」。

葉がすくすくと育ちはじめてから収穫がはじまるまでのほぼ毎日、約12ヘクタールほどあるレンコン畑を順番に草抜きをして回っています。

▲ 朝7時から草抜きがスタート。

「石灰窒素を肥料に混ぜると雑草対策になるのですが、そうすると土壌環境が悪化してしまうんです」。

▲ 雑草は根元からしっかり抜くのがコツだと言います。

「レンコンが大きくなるための手助けをするのが、私たちの仕事」と話す松茂青果。
土の養分がレンコンにだけ行き渡るようにするために、地道な草抜きは欠かせない仕事なのです。


1本ずつ手作業で丁寧に掘る

レンコンの出荷の最盛期は9月頃から。

8月頃になると、花が散ったあとの額が茶色くなり、ゆうに背丈を越えるほどの高さにまで成長した葉の中には、しなしなと首を垂れて枯れる葉も見られるようになってきました。土の中のレンコンもしっかり育った証拠。いよいよ収穫がはじまります。

▲ 花が散って、額の部分が枯れて茶色くなった様子。収穫開始の目印です。

ちなみに、レンコンを漢字で書くと「蓮根」。
その名のとおり、レンコンと呼ばれているのは根ではなく、実は茎の部分なのです。土に埋まった地下茎に栄養が溜まり、肥大したものがレンコン。土の中では横に這うように育っているのだそう。

▲ ベトナムやカンボジアから住み込みで働きに来ている技能実習生たちも一緒に収穫作業。

まずは重機を使って数10センチほどの深さのところまで掘っておきます。これが土の中のレンコンが傷つかないようギリギリの深さを狙う神業! そして、クワを手に、一本一本手作業でレンコンを掘り出していきます。

素人目には一体どこにレンコンがあるのか見当もつかない真っ黒な畑。にも関わらず、スタッフのみなさんは次々にレンコンを掘り当てていきます。尋ねると、「土の上に出ている軸(葉っぱの茎)が目印なんです」とのこと。

なるほど、レンコンのフシごとに軸が出ているため、その位置や太さを見ると、土の上からでもレンコンの位置がわかるのだそう。

▲ クワで傷を付けないよう熟練の技でレンコンの居場所を見極め、掘り進めています。

出荷の時期に合わせながら、収穫は翌年5月頃まで続くと言います。収穫が終われば、次のレンコンづくりに向けて新たに土づくり。畑ごとにまた土壌診断をして、肥料をこしらえて環境を整えていきます。


あえて土付きのままで送る

さて、収穫したばかりのレンコンはと言うと、その日のうちに出荷作業。
スーパーマーケットでよく見かけるような、洗ってカットしたレンコンを真空パック状の販売もしていますが、松茂青果のこだわりはなんといっても「土付きレンコン」。

収穫すぐの土が湿っている状態のまま、出荷用段ボールに梱包していきます。

▲ 収穫したばかりのレンコン。
▲ 土付きレンコンは2キロと4キロで販売。贈答用に人気。

実はレンコンは乾燥が大敵。
表面にほんのり湿った土が着いた状態にしておくことで、空気に触れにくくなり、レンコンの鮮度を保ったままお届けすることができるのです。


シンプル調理でそのものを味わって

もちろん、土づくりからこだわっているからこそ美味しさも抜群。旨味と甘味も詰まったレンコンらしい風味が存分に味わえます。

レンコンのきんぴらなどのような定番料理はもちろん、揚げるだけのレンコンチップスや酢に漬けてピクルスでいただくのもおすすめ。素材そのものが味わい深いからこそシンプルな調理法ならレンコンそのものの美味しさが際立ちます。

▲ 徳島県産のレンコンは穴が楕円形をしているのも特徴。

さらに、もっと手軽にレンコンを楽しめるようにと、松茂青果では「レンコンパウダー」を2020年に発売。

割れたり傷が付いたりといった、もともと処分するしかなかったものを使用し、パウダー状に加工しました。ヨーグルトに入れたり、レンコン特有の粘り気を生かして料理のつなぎにしたり、普段の料理の隠し味にしたりと、取り入れ方も簡単。

▲ 加工される予定の割れたレンコン。

「食物繊維が高いと言われているフシの部分もパウダーになるので、レンコンの栄養を惜しみなく摂取できるんです」。

美味しいうえに栄養がしっかり摂れるレンコンづくりを極めてきたからこその栄養価の高いレンコンパウダーが出来上がりました。

「美容や健康にもおすすめ」と話す、松茂青果のレンコンに秘められた力。生で、パウダーで、レンコンの魅力をぜひお楽しみください。



松茂青果
徳島県板野郡松茂町住吉開拓122-4
tel.088-699-2837
http://www.matsushigeseika.jp/




松茂青果 いも・レンコン専門店の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

土付きレンコン(2kg)

徳島県産の手掘りレンコン約2kg。土が付いた状態の獲れたて新鮮なレンコンです。土の中から鍬で1本1本傷をつけないように丁寧に手で掘り起こして収穫した土が付いた状態でお届けします。