目次 “ご褒美卵”はコレ! 健康な鶏から産まれる健康な卵 菌の力に出会って薬剤いらず 鶏卵からお惣菜までまるごとおすすめ “フン”から生まれ…
600品種以上のシンビジウムを開発
「チェリーティアラ」、「ポップジャム」、「ミマジェンヌ」……他にも「恋の予感」なんていうドラマのタイトルかのようなものも。
これらはラン科の一種「シンビジウム」に付けられた名前。どれも徳島県美馬市に本社を構える「河野メリクロン」が開発したシンビジウムなんです。
河野メリクロンでは、1977年の創業以来、シンビジウムの研究や新品種の作出、種苗生産に取り組んでいます。これまで品種登録をした数はなんと600品種以上!
なかでも全国的大ヒットとなったのが1986年に誕生したシンビジウム「ラッキーフラワー・あんみつ姫」です。
奥ゆかしく可愛らしい姿の「あんみつ姫」が多くの人に愛され広まったことをきっかけに、「あんみつ館」と名付けたショールーム兼ショップを開設。2004年には、華道家・假屋崎(かりやざき)省吾さんが名誉館長に就任したことでも話題となりました。様々な洋ランを楽しめるだけでなく、ランを使った製品も取り扱う、県西部の人気の観光スポットです。
また、美馬市では、徳島の洋ランに魅せられた假屋崎省吾さんによる華道展「うだつをいける」を2007年より毎年1月に開催。名勝地「うだつの町並み」(重要伝統的建造物群保存地区)内にある市指定文化財「藍商佐直(さなお) 吉田家住宅」とともに、この「あんみつ館」も会場になっています。15回を迎える今年も大規模に開催予定とのことで楽しみですね(第2会場の「あんみつ館」は入場無料、2023年1月8日〜2月26日開催)。
取材時は、シンビジウムの最盛期の12月。館内には色鮮やかなシンビジウムやコチョウランが並び、華やかなムードが漂っていました。
奥深いシンビジウムの培養技術の世界
ちなみに、上品できらびやかな雰囲気を持つシンビジウムやコチョウランなどのラン科の植物と言えば、お祝いの場を盛り上げる立役者というイメージですよね。贈り物として定番の花ですが、その世界は知れば知るほど奥深いものということを知っていましたか?
実はラン科は、地球上の植物のなかでもっとも進化した植物。野生の原種だけでも2万種超なのだそう! しかも、世界中で新品種の開発が盛んに行われてきた歴史があり、人工的に生まれた園芸種を合わせるとさらに膨大な種類が存在すると言われているのです。
河野メリクロンの創業者・河野通郎さんが、そんな洋ランの世界に足を踏み入れたのは高校生の頃。一冊の園芸書との出会いをきっかけに、洋ランの栽培にのめり込みます。そして「メリクロン技術」と呼ばれる、種苗の培養技術に辿り着き、昼夜を問わず研究に明け暮れたそうです。
この「メリクロン」とは、分裂組織を無菌的に培養して増殖させた苗のこと。言わば”クローン(遺伝的に同一の個体)”を生み出すようなことで、その方法はまるで化学実験。クリーンルーム(防塵室)で新芽から分裂組織を取り出して培養することからはじまり、それをフラスコの中で1年以上かけて苗まで成長させます。そうして育った苗をポットに植え替え、また2、3年かけて成株まで育てます。
新品種ができるまでには交配から実に10年の歳月がかかると言います。
私たちが美しいシンビジウムの姿を目にすることができるまでに、これほどまで長い月日がかかっているとは想像もしていませんでした。
日々の観察と対話で生まれる美しい花
クリーンルームを出てビニールハウスに移ったシンビジウムの苗が、花を咲かせ、出荷の日を迎えるまでの約4年。この間もただ年月を重ねているわけではなく、並々ならぬ技術と想いを積み重ね、どこに出しても誇らしいシンビジウムに育つのだと言います。
そのために欠かせないのが、“蘭師”と呼ばれる職人たちです。
「ひとつでも手間を欠いたらここまでの美しさは出せない」と、“蘭師”の山口伸二さんは話します。
健康に大きく育つだけでなく、見栄えのする美しい姿に育つことが大切。例えば、花が正面を向いてきれいに並ぶように、支柱を立てて角度や向きを変えて細かく丁寧に調整します。
そんな風に日々、ひと鉢ひと鉢と向き合って、目を配り、手をかけ、尽くすことは、大変な忍耐が必要だろうとうかがえます。
「ランを作る前に精神を作れ」、「ひと鉢ひと鉢との対話を忘れるな」とは、園内に大きく掲げられた言葉。まさにそれを体現し、ここから数々の世界的な園芸博覧会で最高賞を受賞するシンビジウムを生み出してきました。
100年に一度の品種との出会い
日々欠かさない細やかな技の結晶で生まれた花たちだと知ると、「あんみつ館」に並ぶシンビジウムがますます尊いものに見えてきます。
そのなかでもいっそう強い輝きを放っているのが「マリーローランサン」と名付けられたシンビジウム。館長の山下みどりさんもイチオシです。
「葉っぱは力強く、天を突き刺すように伸びていて、茎も花びらもすべてがエネルギッシュ。なのに、淡いピンクの花が咲いて、どこか品のある優しさも感じる魅力的なシンビジウムなんです」。
正式名称「グレートフラワー・マリーローランサン」。力強さと上品さを併せ持つこの花の誕生は、創業者の河野通郎さんが「100年に一度出会えるかどうかの品種!」と言ったほど。
それは、河野メリクロンにとって運命の出会いでした。
マリーローランサンの生命力を活かして
驚くべきことに、このマリーローランサンは「適切な環境で管理すれば100日以上も咲き続けることができる」という並外れた生命力を持っているそう。
「マリーローランサンの“バルブ”は、他のシンビジウムのそれと比較しても違いが一目瞭然! 太さも大きさもひとまわり違うんです」。
「バルブ」とは、茎の根元にあるぷっくらとした膨らみで、ラン科特有の部位。中には栄養分や水分が蓄えられていて、言わばランのエネルギーの源のようなもの。
この大きなバルブを持つマリーローランサンの「生命力」に着目し、2007年、徳島文理大学薬学部で研究がスタート。抗菌作用や抗酸化作用などを持つ成分が含まれていることがわかりました。
このマリーローランサンのパワーを活かすべく、全草エキスを配合したお茶を皮切りに、育毛剤や石鹸などのさまざまな商品の開発がはじまりました。
濃厚エキスたっぷりのブドウジュース
2011年には、マリーローランサンのエネルギーの源であるバルブを使用したジュースを発売。
マリーローランサンのバルブの濃厚なエキスと、世界中の人々に愛される「コンコード」種の赤ブドウのジュースをミックス。独特の渋みを持つ風味と赤ブドウの甘さがマッチし、味の深みが何層も重なったような美味しいブドウジュースです。
保湿力に着目したスキンケア
花びらから根っこまで、すべて捨てることなく使って抽出した、マリーローランサン全草エキス使用のスキンケア商品もおすすめ。
商品づくりのために原料の解体などを担っていたスタッフからの「マリーローランサンは保湿力がすごい!」という声が開発のきっかけ。バルブをカットするたびに触れ続けたエキスのおかげで、手が潤い、その保湿力を実感していたという、現場の声を形にした商品たちなのです。
いち早く「洋ランの6次産業化」を目指した河野メリクロンの話を聞けば聞くほど、シンビジウムの奥深い世界に驚かされてばかり。観賞するだけじゃない、食品やスキンケア用品などバラエティに富んだ商品への展開。その魅力と可能性はますます広がっていくことでしょう。
河野メリクロン
徳島県美馬市脇町大字北庄562-1
tel. 0883-52-2189
https://www.kawano-mericlone.com/
あんみつ館(河野メリクロン)の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。
化粧水・乳液・美容液・クリーム・パック・ネックケア・化粧下地の7つの役割があるジェルです。これ1つで十分お肌にうるおいを与えることができます。