[連載コラム][第7回]
今日は、どこから見てみましょうか。

[連載コラム][第7回] 今日は、どこから見てみましょうか。

続けるために、今は歩く。

今年最後のコラムである。今回は1年の振り返りと来年の抱負を書く回としたいのだが、なかなか筆が進まない。なぜだろう。考えたあげく気づいたのは、私は反省と自己評価が得意ではないということ。特に「できたこと」を見つけ、自分を褒めることが苦手なのだ。

上勝でカフェを始めて8年が経つ。今年初旬、ふと「この8年間、私は何も積み上げることができなかった」という猛烈な無力感に襲われた。毎日必死で「こっちだ!」と走ってきたが、立ち止まって後ろを振り返ると、そこには何も存在しない。歩んできた道が見えない。約10年という時間を無駄にしてしまったのでは、と空虚な気持ちになった。

そんな気持ちでスタートした2021年。私は年表をつくったり、写真を頼りに過去を思い出したりしながら、これまでの時間を辿った。全体を振り返り、自分についても考えることで現在地を探り、次に走る道を模索するようになった。

今年も後半にさしかかった頃、私は走ること自体を一旦やめて、スピードを弱めて歩いてもいいんじゃないかと感じ始めた。そして周囲の人達に相談しつつ、私は来年からカフェに毎日立つことを止めることにしたのだ。

何かを止めることが、全てを諦めることではない。続けるために、歩くのである。

走っていて志半ばで息切れしないように、今の私に合うスピードに走りを緩めただけ。すると、走っていた時には見えなかった景色が目に入るようになる。カフェという存在の再定義、ゼロ・ウェイストとは何か?と深く考えること。どれも毎日を「こなす」だけでは見つけられなかったものだ。

そうやって少しずつ見つけたものを、来年は私なりに発信していきたいと思う。上勝町という町に家族で暮らし、生業をもつ自らの視点で。先月、上勝町内で開催したワークショップもそのうちの一つ(上勝町ゼロ・ウェイストタウン計画ビジョンワークショップvol.1)。ゼロ・ウェイストが「ごみゼロ」だけを意味するものではなく、文化や哲学がその奥に隠れていることを伝えていきたい。

ゼロ・ウェイストWSにて

長くなったが最後に一つ。みなさん、今年も頑張った自分を褒めてあげてください。私は自分を褒めるのがとても苦手だけど、少しずつ反省だけじゃなく、できたことにも目を向ける努力をしたいと思う。そうしながら旅は、まだまだ続く。

雪の降るカフェ・ポールスター。今季はどれくらい雪が降るのか。

みなさま、良いお年をお迎えください。


トップ画像:Instagram instairagram.jp


プロフィール
東 輝実 / Cafe polestarオーナー

1988年徳島県上勝町生まれ。関西学院大学総合政策学部在学中よりルーマニアの環境NGOや東京での地域のアンテナショップ企画のインターンを経験。

2012年大学卒業後、上勝町へ戻り仲間とともに「合同会社RDND(アール・デ・ナイデ)」を起業。2013年「五感で上勝町を感じられる場所」をコンセプトに「カフェ・ポールスター」をオープン。その後はカフェを拠点として「上勝的な暮らし」の発掘、情報発信、各種プログラムの開発などに取り組んでいる。2015年、男児を出産し1児の母。