すだちの果皮をアップサイクル!
徳島ならではの上質アロマオイル

すだちの果皮をアップサイクル! 徳島ならではの上質アロマオイル

スダチの香気で心身リフレッシュ

音楽を聴いたり、湯船にゆっくり浸かったり、マッサージをしたり……日々の疲れを癒すリラックス方法はさまざまありますが、さらにそこへ香りをプラスすれば、いっそう心休まるひとときを与えてくれるはず。

アロマエッセンシャルオイルのなかでも、爽やかな香りでリフレッシュ効果を感じられると人気なのが、オレンジやグレープフルーツ、レモンなどのシトラス系のオイルですが、“すだち”のアロマエッセンシャルオイルがあるのは知っていますか? すだちの生産量が全国9割を占めると言われる徳島県で生まれた、和柑橘アロマです。

▲ スダチのアロマエッセンシャルオイル。

こちらは、徳島県西部に位置する三好市池田町にある企業「池田薬草」の自社オリジナル商品として、2021年に発売されました。

廃棄物だったすだちの搾汁カスを主役に

「池田薬草」はその名が表すとおり、もともとは生薬の製造販売の企業。
かつて日本たばこ産業の池田工場があった池田町では、葉タバコが盛んに栽培されていましたが、1985年に日本専売公社の解散を経て、2001年に池田工場が撤退。葉タバコに替わって生薬の栽培製造をすることで「地元の農家たちを救いたい」との想いから、1984年、「池田薬草」は設立しました。

▲ 吉野川北岸にある池田薬草(画像中央)。かつて周辺には生薬を栽培する畑がたくさんあったそうです。

「現在の池田薬草では、全国のメーカー企業から受託して、原料の抽出と粉末化を行うことが主な業務です」と、代表の三浦宏之さん。

「池田薬草」がつくる製品は、医薬品や食品、化成品などの元となる原料粉末。さまざまな企業からの依頼を受けて、生薬などの原料(固体)からエキスを抽出し高濃度濃縮(液体)、さらにスプレードライ噴霧乾燥機と呼ばれる機器を用いて抽出した液体を粉末状にして各企業へ納品しています。

▲ 2018年から代表を務める三浦宏之さん。

そんな「池田薬草」がアロマエッセンシャルオイルの製造をすることになったきっかけは、徳島県が掲げた「未利用資源の有効活用」にありました。

徳島県は全国トップのすだちの産地。年間約4000トンにのぼる生産量のうち、ジュースや飲料に加工された際に出る搾汁カスは年間約1000トンにも及びます。一部は飼料として利用されていますが大部分は、産業廃棄物に。処分の課題を抱えていた徳島県がまず着目したのが、1961年に徳島大学によって発見された「スダチチン」と呼ばれるスダチの果皮に含まれるフラボノイド(ポリフェノールの一種)。他の柑橘類には見られないスダチ特有の成分です。

「池田薬草」が持つ原料粉末化の技術でスダチチンの高濃縮粉末化に成功したことを機に、徳島県、徳島大学との三者による研究開発がスタート。2020年にはスダチチンを含む乾燥エキス粉末を飲みやすく錠剤化した商品「スダチン錠」が誕生しました。

「スダチン錠には、すだち特有のフラボノイドの他に、レモン果汁と比べてビタミン類やミネラルが多く含まれています。代謝が気になる方、生活が不規則で運動不足を感じている方などにおすすめのサプリメントです」と三浦さん。

そして、次なる「未利用資源の活用」の取り組みとして動きはじめたのが精油の商品開発でした。

和柑橘の果皮100パーセント、純国産アロマオイル

すだちには柑橘類に多く含まれる「リモネン」という香気成分があり、眠気を覚ますなどすっきりとした気分になる効果があると言われています。

「高温で蒸留するよりも良い香りを残すことができるから」と、減圧することで低温蒸留を可能にした水蒸気蒸溜機を採用しています。

▲ 搾汁後のスダチの果皮を冷凍保存しておき、製造するタイミングで必要な分量を使用しています。
▲ スダチの果皮をミンチ状にします。
▲ 蒸留装置に入れて減圧し、精油を抽出します。

約1時間じっくり時間をかけて精油を一滴一滴抽出します。なんと使用した果皮からわずか0.4パーセントしか精油が採取できないそうです。

▲ ガラス管の中央付近にある半透明の部分が抽出された精油です。

抽出した精油から完全に水分を取り除いたあと、瓶詰めして完成。化学香料や合成香料を使用していない、すだち果皮100パーセントの希少なアロマエッセンシャルオイルの出来上がりです。

▲ 手前は「すだち」「ゆず」「ゆこう」のアロマエッセンシャルオイル。奥は「スダチン錠」。パッケージもかわいい。

「すだち」に続いて2023年には「ゆず」、「ゆこう」の純国産和柑橘エッセンシャルオイルが誕生。

「すだち」はほんのりと酸味を感じる爽やかな香り、「ゆず」はやわらかいフレッシュな香り、徳島県南部でしか栽培されていない、だいだいと柚子の自然交配で誕生した和柑橘「ゆこう」はまろやかな爽やかさが特長です。

すだちのアロマエッセンシャルオイルは日本の優れた商品やサービスを発掘、認定し、国内外に発信するプログラム「OMOTENASHI Selection(OMOTENASHI NIPPON実行委員会主催)2024 第1期」を受賞しました。

“アップサイクル商品”で暮らしをアップデート

このような取り組みは、産業廃棄物を有効活用したアップサイクル商品として評価され、2022年には資源を大切に利用し、環境負荷が少ない循環型社会をつくるため、廃棄物などのリデュース(発生抑制)・リユース(再使用)・リサイクル(再生利用)に積極的に取り組む事業として、「徳島県認定3Rモデル事業所」に認定されました。

▲ 代表の三浦宏之さん。

アロマエッセンシャルオイルは、アロマポットやディフューザーで空間に香りを拡散させて楽しむのが定番ですが、湯船やハンカチ、枕などに数滴垂らすだけでも手軽にふんわりと香りを漂わせることができます。

アップサイクルから生まれた徳島ならではの和柑橘の香りをぜひ暮らしに取り入れてみてはいかがでしょう。ちょっとしたお礼やプチギフトなど、さりげない贈り物としてもおすすめです。


池田薬草
徳島県三好市池田町州津中津1808-1
tel 0883-72-5320
https://www.ikeda-yakusou.co.jp/


池田薬草の商品は、Lacycle mallでお買い求めになれます。

すだちアロマエッセンシャルオイル

すだちの果皮を有効活用し、すだちのアロマオイルを製品化。化学香料や合成香料を使用せず、徳島産すだちの果皮から抽出した和の精油です。アロマオイルとして、様々なシーンですだちの香りをお楽しみください。